前回に引続き、建設事業部 建設マネジメントグループの土橋 浩マネージャーにお話を伺います。今回は、3月29日に開通する高速神奈川1号横羽線大師出入口(横浜方向)と川崎縦貫線についてです。
高速神奈川1号横羽線大師出入口(横浜方向)が3月29日に開通しますが、その概要と「スイスイ川崎!プロジェクト」について教えてください。

川崎縦貫線は、川崎の都市機能をさらに強化する路線で、川崎と近隣都市をつないで交通をスムーズにするとともに、渋滞を緩和することにより環境改善にも貢献します。この川崎縦貫線のネットワーク整備計画を「スイスイ川崎!プロジェクト」と位置づけています。既にアクアライン、湾岸線と接続する浮島ジャンクションから殿町出入口までが開通していますが、現在、このプロジェクトの一環として、殿町出入口から大師ジャンクションまでの約2kmの工事を進めております。このうち、大師ジャンクションの一部となる高速神奈川1号横羽線の横浜方向の出入口が今回開通します。

川崎縦貫線の殿町~大師ジャンクション間の開通に先行して、大師出入口(横浜方向)を開通するのはなぜですか?

現在、横浜方向へは浅田出入口でアクセスしていますが、大師出入口(横浜方向)が開通することにより、川崎市臨海部と横浜中心部とのアクセスが強化され、利便性が大きく向上します。例えば、高速横浜1号横羽線の浅田出入口から産業道路、国道409号を経由して、横浜市中心部から川崎市臨海部にアクセスしている交通が、大師出入口(横浜方向)を利用することによって、街路を走る距離が約6km短縮され、みなとみらいから京急川崎線川崎大師駅間の所要時間が30分から20分に10分短縮されます。さらに、浅田出入口を利用している交通の約20%が大師出入口を利用することが見込まれ、交通の流れが分散されることから、浅田出口や周辺道路の渋滞緩和やそれに伴う環境改善効果が期待されます。今回、大師出入口(横浜方向)を先行して開通することにより、利便性の早期向上や環境改善に向けて工事を進めてまいりました。 2010年度には、川崎縦貫線の殿町から大師ジャンクション間の開通を予定していますが、アクアライン、湾岸線が大師ジャンクションで高速神奈川1号横羽線につながります。

2年後には、大師ジャンクションと浮島ジャンクションとの行き来も可能になって、ますます便利になるということですね。次に建設方法について伺いたいのですが、大師ジャンクションでも大規模な桁の架設がありましたよね。それも高速10号晴海線と同様に工事の影響を極力少なくするために実施したのですか?

高速横浜1号横羽線を跨ぐ箇所で世界に2台しかない1250トン吊の世界最大級のクレーンを使って夜間に一括架設をしました。高速横浜1号横羽線の下には産業道路が並行しています。また、周辺の工事ヤードには余裕がないため、クレーンを設置する位置が限られてきます。クレーンを設置する位置から桁を架設する箇所までブームを伸ばさなければならないため、晴海線よりもさらに大きなクレーンが必要となったわけです。このように工事ヤードの広さに制約があり、かつ通交止めを最小限にする必要があるような都市内の狭隘な箇所ではこのような工法を採用せざるを得ないということです。

川崎縦貫線は、いろいろな構造を用いて建設されていると路線だと伺いました。トンネル部分では新しい工法を採用しているそうですが、どのような工法ですか?

川崎縦貫線は、工業専用地域は高架構造、住居地域では掘割やトンネル構造を採用していますが、トンネル部分ではMMST工法を採用しています。 MMSTとは、マルチマイクロシールドトンネル工法といって、外殻と呼ばれる外側の壁を複数の(=マルチ)、小さい(=マイクロ)シールドマシンで掘削し、そのトンネル同士を接合したあとに、内部の土を掘削してトンネル全体の断面を作る工法です。殿町~大師ジャンクション間には、国道409号と産業道路が交差する大師が原交差点などがあるため、地上から掘削しない非開削工法の採用が必要となりました。非開削工法としては、一般的にシールド工法が標準的な工法ですが、殿町~大師ジャンクション間では、トンネル内に共同溝が設置されたり、ジャンクション部分との分岐・合流があったりと断面が複雑に変化するため、断面変化が可能なMMST工法を開発しました。円形のシールド工法とは異なりMMST工法では小規模なトンネル同士の間隔を変化させることにより、トンネル全体の幅員をある程度の自由度をもって変えることができるため、複雑な断面変化にも適用が可能となります。

MMST工法のシールドマシンは、中央環状線などで使われているシールドマシンとは違うんですね。大きさはどれくらいですか?

MMSTのマシンは、縦型で2.5m×7.2m、横型で3.0m×8.2mと小型になります。また、2車線の道路トンネルの場合、シールドマシンの直径は約12m~13m程度となります。現在は、外殻のトンネル構築が完了し、トンネル内部の躯体となる床版、壁などを構築しています。ジャンクション部分はほぼ出来上がっておりますので、今後、トンネル内の躯体構築、設備工事を行っていきます。引き続き、近隣への影響を低減するよう工事を進めてまいります。

これからも、川崎縦貫線、中央環状新宿線3号~4号間、中央環状品川線、横浜環状北線の開通を目指して建設を進めていく中で、新しい工法が生まれたり、採用されたりするのでしょうか。計画から開通までには、どれぐらいの時間がかかっていますか?


路線の状況、例えば用地取得や開発の状況などにより異なるため、一概には言えませんが、都市部のトンネル工事では概ね10年程度はかかりますね。計画時点で最新、最適な工法により計画・設計をしますが、実際工事の実施段階においても、新たな知見を導入した設計・施工を進めています。この際、新たな工法、技術の開発も行っています。技術開発は日進月歩ですので、新たな技術を採用・開発することにより、コスト削減や工程の短縮を図りながら、合理的かつ周辺の状況や環境に配慮した道路造りを常に心がけています。最近では、都市内でトンネルを構築する工法としてはシールド工法が標準となっています。シールド工法は、これまでも多くの地下鉄、下水道などの工事で実績がありますが、道路トンネルでは大断面・長距離シールドで分岐・合流部があるため、施工技術などのさらなる進化が必要と考えています。例えば、中央環状新宿線では、シールドトンネルに出入口部を構築する技術開発について、一定の成果が得られています。今後は、新宿線での成果を踏まえて、現在建設を進めている路線で、分岐・合流部を構築する設計・施工技術などを高度化し、より合理的な工法として確立していくことが大きなテーマだと思います。

首都高の技術を開通前の大師ジャンクションの上を歩きながら体感することができます。 3月29日の高速神奈川1号横羽線大師出入口(横浜方向)の開通を記念して、3月8日に一般開放イベント"完成したての首都高を歩いてみよう"を開催します。自由参加イベントですので、ぜひご参加ください!