突撃!SHUTOKO

道路施設を施工している東京建設局 施設工事事務所 幸道所長に突撃!

シロクマ今回は、山手トンネルの道路施設を施工している東京建設局 施設工事事務所の幸道所長にお話をお伺いします。

 


 

シロクマ  中央環状線 山手トンネル(3号渋谷線~4号新宿線)開通に向けて、施設工事もかなり進んでいることと思います。現在はどのような状況ですか?

 

kodo.gif平成22年3月に開通予定の区間にある4つの換気所がほぼ出来上がっている状態で、トンネル内の設備の設置工事も順調に進んでいます。最終の試験調整に入った段階です。

 

シロクマ試験調整というのは具体的にどのようなことをされるのでしょうか。

 

kodo.gif   道路にはいろいろな設備を設置しますが、最終的にそれらがきちんと作動するか確認する試験を行います。
幸道所長.JPG山手トンネルの設備は開通後、三宅坂にある施設管制所で運転状態の監視・制御を行います。また、トンネル内の交通状況の監視・管制は平河町にある交通管制室で行いますが、そのために施設防災用、交通管制用といったシステムを構築します。それらは複雑な条件下で連携して有機的に動作するように設計してあります。それぞれのシステムの中央装置と端末機器の間がちゃんとつながっていて設計どおりに正確に動作するかどうかを1つずつチェックしていく訳です。

 

シロクマ山手トンネルを管理する西東京管理局三宅坂施設管制所と実際につなげて操作をしてみるということですね。
換気所内のすべての施設が対象となるのですか?


kodo.gifそうです。現在運用している三宅坂や平河町の操作卓や中央装置の一部をお借りして、端末の設備と線がきちんとつながっているかとか、決められたとおり信号の受け渡しができるかなどをひとつひとつ確認をしていきます。換気所だけでなく、トンネル部、高架部、避難路など道路に設置するすべてのシステム、設備機器が対象となります。

 

シロクマそれはすごい数になりますから、相当な時間がかかりますよね?

 

kodo.gif出来上がった箇所から順々に試験を進めていって、約5ヶ月ですべての試験調整を終えます。お客様に安全な道路として首都高を提供するためにしっかりとチェックします。

 

シロクマ山手トンネルにはどのような道路施設があるのですか?

 

kodo.gif一番大きな施設は、トンネルの換気施設です。
トンネルの換気方式は何種類かあるのですが、山手トンネルでは「横流換気方式」を採用しています。この方式では外気を換気所からトンネル内に送り込み、排気ガスの混ざったトンネル内の空気を薄め、同時に、トンネル内の空気を換気所に集めて排気塔から外に排出し、トンネル内の空気の入れ替えを行います。


トンネル内の側壁に給気口が5m間隔、天井部分に排気口が10m間隔に設置されており、空気は給気口から排気口に向かってトンネルを横断する方向に流れることから "横流"と呼ばれています。
このようにトンネル内の空気の流れを司るのが換気所の役目です。
さらにこのトンネル換気システムは万一の火災発生時には排煙装置としても機能するよう設計されており、大変重要な防災設備でもあります。

 

シロクマ1つの換気所ではどれぐらいの範囲を受け持っているのですか?

 

kodo.gif   山手トンネルの換気所は1箇所あたり約1~1.5㎞区間の換気を受け持っています。今回の開通予定区間を含めてトンネル延長は約10㎞になりますが、全部で9箇所の換気所が必要となりました。
換気所には給気用と排気用の換気ファンがそれぞれ標準で4台ずつ設置され、給気用と排気用がペアになってそれぞれの区間を受け持っています。換気ファンは口径が3m、長さは10m近くもあるとても大型の機械で、空気はこの機械の力で送られます。
トンネルと換気所は換気ダクトと呼ぶ空気の通り道でつながっていて、シールドトンネルは道路面の下部空間をこの換気ダクトに利用しています。隣の換気所との換気ダクトの境界部分はバルクヘッドという隔壁で仕切られています。


たとえば換気所から給気ファンでトンネルに空気を送る場合、空気は換気ダクトを通りながら5mピッチに設けられた給気口からトンネル内に供給されますが、この給気口から一様に空気が吹き出すように調整するのがとても大変な作業なのです。

 

シロクマ調整ではどのような作業を行うのですか?

 

kodo.gif 幸道所長.JPG換気所から一番離れている給気口は600mも700mも先にあるため、単純に給気口の開口面積が同じだとすると、換気所に近いほど圧力が高いので多くの風量が出てしまい、先の方ではほとんど風が出なくなってしまいます。
トンネル内に一様に空気を供給するためには換気所に近い給気口は開口面積を小さく、離れるに従って大きくしてやることが必要になるので、給気口には風量調整板という開口量を調整する仕組みが付いています。排気口も同様の仕組みです。


何百もある風量調整板の開口幅は区間毎に何センチと計算で決められますが、実際の設定は人が換気ダクトに潜り込んでひとつひとつ人力作業で行わなければなりません。一度全体を設定してから実際に風を流し、換気ダクトの区間毎に想定した圧力が出ているかを計測し、所定の圧力が出ていなければ再度風量調整板の開口幅を設定し直します。このようなことを3回程度くり返してやらないと思ったような風量調整ができませんので、かなりの根気と時間が必要な作業となります。
これが「横流換気方式」の試験調整で一番大変なところかもしれません。

 

シロクマこれを4つの換気所で行うとなると、大変な時間がかかりますね。
ところで、今回「横流換気方式」を採用したのには、何か理由があるのですか?

 

kodo.gif山手トンネルには、5箇所の出入り口と2箇所のジャンクションがあるなど、分岐合流箇所が多いのが特徴です。この分岐合流箇所は、内回りと外回りの二つの本線トンネルの中央部に対面通行トンネルで作られていますので、この箇所で二つの本線トンネルの空間がつながった状態となっています。このため、トンネル内の空気の流れは車両が空気を押す力(交通換気力)やトンネル間の圧力差によって反対方向のトンネルに回り込むなど、不安定で非常に複雑な流れとなってしまいます。


山岳トンネルなどで一般的な「縦流換気方式」は、走行する車両の交通換気力を利用しながらトンネル内の空気をコントロールする方式ですが、山手トンネルのようにトンネル内の空気の流れが進行方向だけでなく、反対方向トンネルに回り込むような状態では、交通換気力が有効に働かず、空気のコントロールは非常に困難となります。
一方、「横流換気方式」は本線に併設された換気ダクトを経由して送・排気を行うため交通換気力を利用しない方式ですから、山手トンネルのように重交通でトンネル内に分岐合流が多くあるような状態でも空気のコントロールは可能で、トンネル内の安全性の確保が容易です。
また、一般的には換気ダクトを別に設けなくてはならないため建設コスト的には不利となりますが、山手トンネルの場合、その約7割がシールドトンネルなので、道路床下の空間を換気ダクトとして利用できるため、比較的ローコストで工事が行えます。
このようなことを総合的に判断して「横流換気方式」を採用しました。


なお、将来山手トンネルにつながる中央環状品川線は、分岐合流箇所が各方向トンネルに1箇所ずつありますが独立した構造となっており、トンネル内の空気が反対方向のトンネルに回り込むといった状況がなく、交通換気力が有効に働くことから「縦流換気方式」を採用しました。

 

シロクマ山手トンネルの構造を生かした換気方式が採用されているのですね。
次に山手トンネルで周辺環境に影響が及ばないように配慮されたところや環境保全に対する取り組みについて教えていただけますか?


kodo.gif換気塔の高さは、周辺の建物よりも少し高くなるよう45mとしました。この高さからトンネルの空気を換気ファンの力で上空高く吹き上げると、地上から100m程度まで上昇し、大気中に拡散しながら薄まってゆきます。予測計算では換気所から1㎞程度離れたところにNO2(二酸化窒素)の最大着地濃度が出ますが、その値は環境基準の数百分の一程度のものであり、環境に与える影響は非常に小さいと評価されています。


幸道所長.JPGさらに、換気所周辺の局所対策としてすべての換気所に低濃度脱硝設備を設置しました。これにより換気所から出る空気中に含まれるSPM(浮遊粒子状物質)を80%以上、NO2(二酸化窒素)を90%以上(※)と大幅に除去できます。※SPM、NO2いずれも一日平均値


また、換気所から出る騒音についても配慮しています。
換気所に設置されている換気ファンは、大きなものですと直径約3mもありモーター出力もとても大きいため、運転時には相当大きな騒音が発生します。換気ファンの直近で約100db(=電車が走る時のガード下くらいの音)なのですが、消音装置を通すことによって、敷地境界で50(地域によっては45)db(=静かな公園又は静かな事務所くらいの音)以下に低減します。


道路は都市において極めて重要な基盤となる施設ですから、社会に大きな利益をもたらすと同時に、環境問題などの負の影響があることも事実です。このような問題にも十分に配慮し、積極的に取り組んで行くことが、都市内高速道路建設に課せられた重要な課題のひとつだと考えます。
首都高では、道路事業者として環境問題をクリアしていくために、日本で初めて道路トンネルに低濃度脱硝設備を設置するなどさまざまな試みを積極的に行っています。
さらに山手トンネルが開通することで、首都高の流れがよくなるとともに、一般道路も含め、東京全体の交通の流れがよくなりCO2(二酸化炭素)の排出を減らすことができます。また、街路の走行速度が安定して排出ガス量が減り、沿道周辺の環境が良くなるという効果もあります。

 


シロクマお客様に快適に走行していただくために、さらに首都圏に存在する道路として、環境や人にやさしい道路をご提供するために、首都高では、道路のさまざまな施設をひとつひとつ入念にチェックしています。
また、山手トンネルの換気システムは、山手トンネルを安心に走行していただくためのトンネル防災施設としても大きな役割を担っています。それについてはまたの機会にお伝えします!

2009/12/28 突撃!SHUTOKO

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