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東京の地下で首都高を創る

高速道路は、橋梁や高架、トンネルの形ができあがってもまだまだ完成とはいえません。
舗装され、車線を示すラインが引かれ、照明や各種防災設備が設置され、トンネル換気や排水などの仕組みが整ってから、やっと誰もが安心して走ることができる道路が完成したといえます。

中央環状線山手トンネルは、すでに開通している4号新宿線~5号池袋線間と合わせて約10kmの長大トンネルとなります。途中出入口はありますが、閉ざされた空間を多くの車が走る場所ですので、お客様に快適・安全に走行していただくためには安定した換気を確保することはとても重要です。
山間部のトンネルには、ジェットファンと呼ばれる送風のための設備があります。天井に設置されている、飛行機のエンジンのような形をしたものを目にされたこともあるでしょう。
トンネル内の空気を車両の進行方向に向かって送風し、外へと排出しています。トンネルに沿うように空気を流すこの方法を「縦流換気方式」といい、比較的低コストでの換気が実現できます。
しかし、山手トンネルでは途中に出入り口やジャンクションの分岐部が多くあり、この方式を採用することはできませんでした。この部分から外に出て行こうとする空気の流れをコントロールすることが難しかったからです。そのため外気をトンネル内に送り込むと同時にトンネル内の空気を排気する「横流換気方式」を採用しました。空気を送ったり出したりするための大きな換気ファンは換気所の中に設置しています。換気所は1km~1.5kmの間隔で9箇所必要となりました。

横流換気方式のイメージ

トンネル内の路面に近いところに送気口を、天井部分に排気口を設置しています。送気と排気どちらも路面下のシールドトンネル下部のスペースを有効利用し、ダクトを配して空気の通り道としました。空気の流れがトンネルを横断することから「横流換気方式」と呼ばれます。

トンネル内の排気ガスを含んだ空気はエリアごとに担当する換気所へと集められ、高さ45mの換気塔から換気ファンの力で上空高く吹き上げられ大気中に拡散されます。換気塔から排出された二酸化窒素(NO2)の最大濃度は環境基準の数百分の一以下で周辺環境に与える影響はきわめて小さくなります。さらに、山手通り周辺の環境基準の達成状況を勘案し、さらなる環境負荷低減のため、低濃度脱硝設備を全換気所に導入しました。これにより、二酸化窒素(NO2)を90%以上、浮遊粒子状物質(SPM)を80%以上除去します。
また、この換気設備は万一トンネル火災が発生した場合には排煙設備としても機能するようになっていて、重要な防災設備でもあります。

換気塔からの音にも配慮しています。
換気所には送気・排気のために人間の倍くらいの高さがある送風機や換気ファンが設置されていますが、運転するととても大きな騒音が発生します。そこで消音装置を設置し、騒音レベルを規制基準内に抑えました。
これにより静かな公園とほぼ同じくらいのレベルが確保できました。

山手トンネル内には、国内最先端の防災安全設備が設けられています。
火災検知器は約25m、 消火器・泡消火栓、押ボタン式通報装置は約50m、テレビカメラ、非常電話は約100m、拡声放送スピーカーは約200m、 非常口は約350m間隔で設置され、万が一の災害発生時に備えています。

24時間見守り続けられている山手トンネル

山手トンネルに設置されるテレビカメラの数は全線で380台近くにもなります。これらの映像を人間の目だけで監視することは不可能です。そこでテレビカメラの映像をコンピュータで処理し、事故や落下物などの異常を自動的に判断し、即座に管制員に知らせるシステムを導入しました。死角なく設置されたテレビカメラで、見落としなくトンネル内を24時間見守ります。

また、トンネル内で事故、火災が発生した時は、迅速・正確な情報伝達が大切です。
トンネル内は拡声放送スピーカーや警報板を設置し素早く情報を伝え、トンネル入口には坑口フラッシング、信号機、警報板でトンネル内の状況をお知らせし、確実に車両の進入を防ぎます。
拡声放送スピーカーは、トンネル内という環境において明瞭に情報伝達ができるように、時間遅延技術を採用しました。いろいろな位置で何度も測定、検証して完成したものです。声や話し方についても、より聞き取りやすいものを採用しています。

換気の調整、音の計測、防災設備などの整備を進めていく中で、膨大な検証作業をおこない、すべての検証を終えるには約4~5ヶ月もの時間を要します。

お客様が、さまざまな防災設備を実際にお使いになる時がこないことを願っています。
なぜなら、ご紹介した数々の設備は、ひっそりと静かに見守っている存在であることが一番だからです。
最新の防災安全設備が山手トンネルを24時間見守り続けます。


2009年11月13日 掲載