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山手通りを美しく快適に

人も自転車も車もスイスイと

サイクリングを楽しむ人たちが、自転車通行帯をスイスイと走り抜けていきます。
ここは、山手通りと早稲田通りが交差する「上落合二丁目」交差点。その南側約200mにわたって、新しい山手通りの姿を見ることができます。グレー色のブロックが敷き詰められた自転車通行帯。ハナミズキなどの植栽で区切られたその外側は、暖色ブロックが敷かれた幅約5mの広々とした歩行者通行帯。

  • 山手通りの歩道

こちらでは、お散歩や買い物帰りの人々がのんびりと歩いています。片側2車線の車道には右折レーンや停車帯が設けられ、スムーズな車の流れが実現しています。整備を終えた山手通りは、人・自転車・車のそれぞれにとって快適な空間になりました。また、緑が多くなったのも印象的です。加えて、電柱や電線が地上から撤去されるなど、景観的にも美しい道路に生まれ変わりつつあるのです。
東京都から受託して進められているこの山手通り整備事業、2009年11月現在、完成区間はまだそれほど多くはありませんが、工事は最終段階に入りつつあります。とはいえ、地下を通る中央環状新宿線(山手トンネル)が開通しておよそ2年が経過しています。「なぜ、そんなに時間がかかるの?」という疑問もあるでしょう。実は、山手通りの整備には数々のハードルがあったのです。

電気・通信線を地下に埋める

  • 池袋工事グループの荒神敏郎所長

「山手通りの街路工事は、平成19年12月に中央環状新宿線(山手トンネル)の新宿~池袋間が開通したことを受けて本格的にスタートしました。整備の基本的な考え方は、『緑豊かな道路』『人に優しい道路』『渋滞のない道路』にすることです」と説明するのは、池袋工事グループの荒神敏郎所長です。荒神所長によると、いくつかの画期的な整備ポイントがあるとのこと。その中の一つが、電線類の地中化です。
「通常、電柱には電気線と通信線が複数種類架けられています。これらを歩道下の地中に埋設しなければなりません。そこで採用されたのが電線共同溝を歩道内に設置することです。とくに通信系では共用FA管方式を採用し、地中に埋設する管を複数事業者が共同使用することで、設備のコンパクト化やコストの低減、再配線の効率化などを実現しています。

  • 整備中の電線共同溝

工事はまず、電気線用と通信線用の2種類の管を埋設します。次に、埋設した管に電気・通信線を通します。そして、沿道の家庭やビルに向けて引き込み管が設けられます。最後に、空中電線からのつなぎ替えを行い電線と電柱の撤去が行われるという手順です。ただ、電気・通信線の施工は各事業者が担当します。つまり、電線共同溝管の埋設(首都高)、電気線の工事(東京電力)、通信線の工事(NTT等の通信事業各社)、と一ヵ所で複数回の工事を行う必要があるのです。
「沿道の皆様にもご迷惑をおかけしますので、できるだけ短期間で効率的に工事を進めたいと考えています。そこで月に2回、関係各社にお集まりいただき、工事進捗の調整を綿密に行っています」
それでも、電線類の地中化におよそ1年を必要とします。

地元住民の皆様とのコミュニケーション

電線の地中化が終われば、歩道の最終整備ができます。しかし、ここでも様々な調整作業が待っています。
「今回の整備で山手通りは片側約10mの拡幅が行われました。そこで、歩道と民間所有地との新たな境界線を確認するために、山手通りの現地測量を行ない、現地に道路境界の再現をし、沿道の皆様一軒一軒に立会い確認をしていただきました。また、駐車場をお持ちの場合は、歩道に車が乗り入れられるように歩道の切り下げを行いますが、その位置も所有者の方々と個別の話し合いの場を設けて一つひとつ決めていったのです」
このほか、建物と道路との段差の解消や、やむを得ず高低差が生じた際の対処方法の協議など、沿道住民の皆様のご協力・ご了解をいただくことが、山手通り整備の最も大切なステップなのです。
「地下トンネルの建設から沿道の方々には長くご迷惑をかけてきましたが、この山手通り整備が最後の工事ということで皆様にもご理解をいただいています。既に完成している区間を見て、『ここも早くきれいになるといいね』と期待感を込めたご協力をいただいていると思います」
こうした地元の方々とのコミュニケーションを経て、山手通りは完成していくのです。

四季折々の景色が楽しめるグリーンベルトに

  • 山手通り

もう一つの特長がグリーン化です。中央分離帯にはメタセコイアが、車道と歩道の境界にはハナミズキやケヤキ、カツラ、コブシなどの中高木とツツジやアベリアなどの低木が植えられます。さらに歩行者通行帯と自転車通行帯を植栽で分離した区間もあるなど、緑豊かな空間になる予定です。歩道に植える木々の選択は、地元各区(豊島区、中野区、新宿区、渋谷区)の意見を尊重し、エリアごとに個性的な街路が出来上がる予定です。
「4~5年で立派なグリーンベルトになるでしょう。これほど緑の多い幹線道路は他にないと思います」と荒神所長。さらに、歩道の仕上げには、透水性のあるインターロッキングブロックが使用され、車道も透水性と消音効果のある低騒音舗装が施されるなど、環境にも配慮した施工が実施されています。
「安全でスムーズ、緑が多く美しい道路ができます。それも、沿道の皆さんや工事関係者の方々との豊かなコミュニケーションがあってこそ実現できるのです」道路は人がつくり、人が使うもの。その人々の信頼関係が、素敵な道をつくっていくのです。
山手通り整備全区間のうち、要町一丁目交差点から清水橋交差点までの区間が、平成22年までに順次完成していく予定です。


2009年12月11日 掲載