首都高のあらゆる情報が集まる交通管制室
幅約17メートルの巨大なスクリーンに映し出される首都高のリアルタイム情報。スクリーン中央の路線図には、渋滞状況をはじめ、落下物や故障車両など様々な情報が表示されます。刻々と変化する大スクリーンを見ていると、首都高の現在の様子が見えてきます。
「交通管制室には首都高のあらゆる情報が集まってきます。その情報を迅速かつ適切に処理し、お客様をはじめ関係各所に向けて提供することが私たちの役割です」と説明するのは、西東京管理局 ETC・交通管制システムグループの柴崎誠課長です。
首都高では、西東京管理局・東東京管理局・神奈川管理局の3つの局で交通管制を行っていますが、西東京管理局は、中央環状線山手トンネルを含む都心部から西側の地区を管轄しています。2009年11月に運用開始された新交通管制システム「AISS'09」はここにあります。
「これまでは、3局それぞれが独立した管制システムを運用してきましたが、今回の「AISS’09」の導入によって東京地区が統合されました。将来的には神奈川地区の統合も予定しています。これにより、ハードウェアのコスト低減やソフトウェアを変更する際の負荷軽減が可能となります」(柴崎課長 以下同)もちろん、コスト的なメリットばかりではなく、お客様に提供する情報の質・量の向上や、管制業務の効率化など、大幅な機能強化が図られています。
他に類を見ない巨大スクリーン
「AISS’09」の大きな特徴の一つが、幅約17メートルもの大スクリーンです。プロジェクター方式を採用した120インチ画面が横7面×縦2面の計14面、シームレスに組み合わされています。今回のプロジェクター方式とは、半導体上のミラーに光を投射し、その反射光をスクリーンに映し出す映像方式です。半導体の大きさは対角2.2センチ。そこに147万枚もの微細ミラーが配置されています。1つのミラーが1画素に相当するので、1画面で147万画素。液晶やブラウン管と異なり、静止画や文字・図面といった固定パターンを長時間表示し続けても焼き付きが発生しないメリットがあるほか、色ズレや画像の歪みもなく、視認性の高いことが特徴です。
「他に類を見ない大スクリーンとなりましたが、これも、交通管制業務の効率性を追求した結果です。自由度が高く、しかもきめ細かい画像表示が可能になったことで、路線の表現や異常時の表示にも工夫を凝らすことができました」
路線図は立体感があり、進行方向や出入口も明瞭です。渋滞度は5色で表現され、事故・障害物・工事などのイベントアイコンも直感的にわかる表示が採用されています。さらに、注目したい箇所の拡大表示や交通管制用テレビカメラのライブ映像の表示、あるいは複数の画面をマルチに表示するなど、状況に合わせたフレキシブルな表示が可能です。
「感覚的にもわかりやすい表示になったので、管制員の操作性が向上し様々な道路交通状況にも迅速に対応できると思います」
また、中央環状線山手トンネルは、長大トンネルという特殊性から、スクリーン4面を使って個別に見守っています。「トンネル内の状況は、約400台の交通管制用テレビカメラで死角なく見守っています。この管制システムには画像処理技術が導入されていて、走行異常があれば自動的に判断してスクリーンに表示します。これによって、停止車両や低速車両、落下物などを即座に発見し対処することができます」
3月28日には中央環状線山手トンネル(3号渋谷線~4号新宿線)が開通。管制システムも準備が整いました。
わかりやすく便利な情報の提供
「AISS’09」のもう一つのメリットは、お客様へのサービス向上です。
「システムの処理機能が向上したことによって、お客様にご提供する情報は質・量ともにアップしました。例えば、故障車が発生した場合、これまでは『故障車注意』といった表示でしたが、システム変更後は『この先 左車線 故障車 注意』と車線情報が表示されるようになりました。また、車線別の所要時間を算出するなど、きめの細かい情報提供が可能になっています」

その他、VICS簡易図形画面は広域の道路状況が一目でわかるようにデザインも一新し所要時間も表示、パーキングエリアに設置されている「首都高ナビ」のリニューアルなど、お客様の安全と快適なドライブのための情報サービスにも力を入れています。
「首都高の管制は、24時間365日止めることのできないきわめて重要なシステムです。既存システムを運用しながら新しいシステムに切り替えていく作業は緊張の連続でしたが、これによってより充実した情報を迅速に提供できるようになり、ひとまずほっとしています」
「AISS’09」運用後は、海外の研究者や道路関係者の視察も多く、「AISS’09」の機能に驚かれると言います。都心の交通渋滞をいかに解消するか、首都高建設以来の取り組みの成果の一つが「AISS’09」なのです。
「今後も、お客様の安全・安心と円滑な交通のために、ハード・ソフトの両面から機能強化に取り組んでいきたいと思っています」
2010年3月5日 掲載









