湾岸エリアへのアクセスを向上させる「川崎線」
川崎市を縦貫する国道409号線。主要な幹線道路と交差し、また高速神奈川1号横羽線(横羽線)、高速湾岸線(湾岸線)、東京湾アクアラインに接続する道路でもあるため交通量が多く、渋滞の起きやすい道路です。この問題を解決する道路整備の一環として進められているのが「川崎線」建設です。
川崎線は、横羽線と湾岸線を結び、アクアラインへと繋がる首都高速道路です。平成21年3月に、横羽線 大師出入口(横浜方向)が先行開通し、まず川崎市と横浜都心部との交通がスムーズになりました。そして現在、この横羽線 大師ジャンクションから湾岸線 川崎浮島ジャンクションへとつながる殿町〜大師間の建設工事が、平成22年度内の開通を目指して急ピッチで進められています。
「国道409号線は、京浜工業地帯へ行き来する大型車の通行も多く、たいへん混雑する道路です。この409号線と並走する川崎線の開通によって、川崎市内から東京や横浜の湾岸エリアへのアクセスが向上し、渋滞の緩和に貢献できると考えています」と説明するのは、川崎市・横浜市における首都高整備を担当する神奈川建設局の小田桐直幸建設部長です。
大師ジャンクションから殿町出入口までの2kmのうち、シールドトンネル区間が540m続くのですが、その施工方法に特色があります。MMST(マルチマイクロシールドトンネル)と呼ばれる新工法が採用されているのです。
「これは、小型の矩形シールドマシンを複数台組み合わせて、まずトンネルの外殻部分のみを掘削します。それらをつなぎ合わせて四角形の強固なトンネル外壁を形成したのちに、内部の土を取り除いてトンネル空間をつくりだす工法です。一般的な単体シールドトンネルに比べて、トンネルの大きさを自由に変えられるメリットがあります」(小田桐部長、以下同)
MMST工法を採用した最大の理由は車線の構造にあります。大師側は上下2段構造になっていますが、浮島方面に向かうにしたがって徐々に位置を変え、殿町付近で左右に並ぶ状態になるのです。トンネルの断面サイズが変わるので、フレキシブルに対応できるMMST工法が効果的だったわけです。この工法によって完成したトンネルの内寸は、最大部分で幅約23m、高さ約18mもの大空間になります。これは一般的なシールド断面のおよそ4倍もの大きさです。
「MMST工法で造った大空間に走行車線や換気ダクト、避難路のほかに、ガス・水道・電気・通信などのライフラインスペースを設けるのですが、上下に分割したり柱や壁を造る必要があります。そこで、トンネル内で橋梁工事を行いました。地上で橋の設計・施工をするときと同じように、柱を立てて梁を渡す工事を地中で行ったのです。私も初めての経験でした」
また、換気塔や高速入口付近に設置した歩道橋の建設に際しては、景観に配慮したデザイン・配色を採用。色を決めるために、現場に大判の見本色ボードを何枚も持ち込んで、専門家に周囲の景観と調和する色を選んでもらったと言います。
横浜市の新たな交通ネットワーク「横浜環状北線」
もう一つ、効率的な都市交通ネットワークを構築する新路線の建設が進められています。「横浜環状北線」です。
横浜環状線は、横浜都心部から10〜15km圏に計画されている環状道路。そのうち北線は、第三京浜道路 港北インターチェンジから横羽線 生麦ジャンクションの約8.2kmの区間です。家屋の移転をできるだけ少なくし、周辺環境の保全を考慮して、約7割がトンネルとなります。
「新横浜地区では平成19年11月に着工し、シールドマシンを入れる立坑が最近完成しました。ここから2機のシールドマシンを使ってほぼ同時に2つのトンネルを掘り進んで行く計画です。2機が並走して進む工事は首都高でも初めてのことです。その到着点となる生麦でも、子安台換気所の建設が進んでいます」
完成予定は平成24年度。新横浜、馬場、新生麦の3箇所の出入口が設置されます。この北線の完成によって、湾岸線、横羽線、第三京浜がつながり、内陸部から羽田空港やアクアラインへのアクセスがとても便利になります。同時に、幹線道路の渋滞緩和や生活道路の安全性・快適性も向上することでしょう。さらに将来的には、東名高速道路・横浜青葉インターチェンジに接続する「北西線」の建設も計画されており、東名高速と湾岸エリアがダイレクトにつながる予定です。
「北線と北西線の建設は、地域経済に大きなインパクトを与える整備効果の大きい道路だと思います。とくに、物流面から横浜市の発展に貢献するのではないでしょうか」
横浜市の内陸北部には工場などの集積地があります。一方、湾岸エリアには横浜港や京浜工業地帯があります。北線によって内陸部と湾岸エリアがスムーズに結ばれることによって、経済的な活性化が期待できるのです。それだけに、横浜市の期待も大きく、市と連携した効率的な整備が進められています。
「地元住民の皆さんのご意見やご要望をお聞きする『対話会』なども実施しながら、地域の活性化や生活環境の改善につながる道路の建設を目指しているところです。羽田空港をはじめとする湾岸エリアの施設・スポットへのアクセスがとても便利になる道路ですから、そうした効果も積極的にアピールしながら、地域の発展に貢献する道路建設を目指していきたいと思います」
2010年4月2日 掲載












