安らぎのスポット
小さな森のようなパーキングエリアがあります。高速4号新宿線(上り)、代々木パーキングエリアです。隣接する明治神宮の森と調和するように2008年4月にリニューアルされました。高速道路とパーキングエリアの間の壁面や屋上を緑化し、駐車場の緑地に高さのある樹木を植樹、植栽ボックスも豊富に設置しています。2階のレストラン「よよぎの森」は、神宮の森の緑が大きな窓いっぱいに広がり、まるで森に囲まれたような癒しの空間です。
パーキングエリアは、運転で緊張したドライバーの心と体をほぐしてくれる安らぎのスポット。また、食事や買い物、交通情報など、この先のドライブを快適にしてくれる場所でもあります。そうしたお客さまのニーズと期待に応えるべく、首都高では、パーキングエリアの整備・改善に取り組んでおり、代々木パーキングエリアのリニューアルもその一つです。
現在、首都高には20カ所のパーキングエリアがあります。利用状況に合わせて順次リニューアルが進められていますが、整備にあたってのポイントがいくつかあります。
「まず、いつでも駐車できるようスペースを確保し、できるだけ多くのお客さまに利用していただきたいと考えています。ちょっと一息したいのに、混雑であきらめてしまわれるのは心苦しいですからね。また、お客さまにとっての使いやすさと快適性の向上、とくにトイレや休息スペースの充実には力を入れています」と説明するのは、首都高の施設を担当する技術管理室 設計技術グループの石井喜久担当課長です。
実際、代々木パーキングエリアでは、リニューアルによって駐車台数を22台から41台へと倍増しました。またトイレも、オストメイト設備や大人用介助ベッドを設置した多目的トイレを設置。通常のトイレにもゆったり広めの個室設計をとりいれました。
「すべてのお客さまにとって快適で使いやすいパーキングエリアとなるよう、施設全体でユニバーサルデザインを採用しています。また、環境に配慮した“エコPA”の推進も力を入れている取り組みの一つです」(石井課長 以下同)。
照明などの電力を補う太陽光発電や、駐車場にヒートアイランド対策に有効な遮熱性舗装、建物の窓には低放射熱複層ガラスを使用して冷暖房の省エネルギー対策を行っています。
「また、風力と太陽光を利用するハイブリッド発電設備によって作られた電力は、携帯電話の充電用としてお客さまに無料で提供しています。お客さまにもエコを実感していただこうという試みです」
ニーズと時代に合った特色のあるパーキングエリア
「都市の中の小さな森」がコンセプトの代々木パーキングエリア。実は、さらに緑豊かなパーキングエリアもあります。川口パーキングエリアです。
川口パーキングエリアのある埼玉県川口市周辺は、造園業を営んでいる方が多い植木の街です。パーキングエリアの周りも緑が多く、その木々に融け込むように川口パーキングエリア内も多くの植栽が施されています。代々木パーキングエリアと同様に、ユニバーサルデザインや、環境に配慮した設計・設備も数多く取り入れています。
「中でもいちばんの特色は女性トイレです。パウダーコーナーを設けて、混雑を気にせずゆっくりと化粧直しができるようになりました。また、個室内には靴を脱いで上がることができるフィッティングボードを備え、靴や靴下の履き替えに便利です。アロマによる香りの演出も、ドライブ疲れを癒してくれると思います」
一方、首都高最大の大黒パーキングエリアには、お子さまを対象としたキッズトイレがあります。子供サイズの便器に、子供サイズの洗面台、ポップなカラーリングも楽しい演出です。お子さまが一人で使いたくなるトイレとして大人気です。
「時代に合わせてパーキングエリアに求められるお客さまのニーズも変わってきました。それに合わせた施設の充実に取り組んでいるところです。例えば、以前は清潔さ重視だったトイレが、ほっと落ち着けるような空間へと変化してきています。ウッド素材の利用や香りの演出などはその一例です。かといって、華美にならないようにと考えています。コスト面からも、機能や品質を容易に維持できる継続性のある施設であることはパーキングエリア整備の重要なポイントの一つです」
パーキングエリアのリニューアルを行う際には、画一的な施設設計を脱し、立地や規模、お客さまの利用状況に合わせてパーキングエリアごとに特徴のあるコンセプトを策定しています。とくに都心部のパーキングエリアは限られたスペースをどう機能的に活用するか設計者の頭を悩ませます。また、コンビニエンスストアやコーヒーショップなど、今までにない店舗も誘致して利便性の向上を図っています。
首都高では、これまでにもお客さまの声と景観、色彩、照明など各分野の専門家よりアドバイスを頂戴してパーキングエリアの整備・改善に取り組んできました。これからも順次リニューアルを進めていく予定です。
「郊外から首都高に入ると、ほとんどの路線ですぐにパーキングエリアがあります。パーキングエリアの多くに渋滞情報をはじめ首都高の詳しい状況を知ることができる『首都高ナビ』が設置されています。この先の所要時間や効率的に走るルートを調べることもできますので、『ちょっと一息』の休憩を兼ねてぜひパーキングエリアに立ち寄ってみてください。緊張を和らげる潤いのある空間とサービスで皆様をお待ちしています」
2010年4月28日 掲載











