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レインボーブリッジを染めた一夜限りのアドイベント

オリンピック・カラーに演出されたレインボーブリッジ

2009年10月2日の夜、レインボーブリッジがオリンピック・カラーにライトアップされた瞬間をご存知の方もいらっしゃるでしょう。その夜は、2016年夏季オリンピック・パラリンピックの開催地が決定する日。東京招致を応援するために、一夜だけの企画として、首都高が東京都、東京オリンピック・パラリンピック招致委員会と協力して実施した、光と映像による演出だったのです。

オリンピック・カラーに演出されたレインボーブリッジ

  • 事業開発部 小笠原 政文 担当部長

吊り橋式のレインボーブリッジには、橋桁を吊り下げる高さ126mの主塔があります。この主塔を巨大なスクリーンにして、招致ロゴや五輪、公式メッセージなどを映し出しました。まさにレインボーブリッジがオリンピックのウエルカムゲートになったかのような演出でした。
「主塔の足元からLED照明で照らし、少し離れたアンカレイジ(メインケーブルを固定するコンクリートブロック)の上から映写機で動画を映し出しています。映写機は左右2台ずつの計4台あるのですが、4つの画像をピタリと合わせるのが大変でした。主塔まで最大130mあるので、1ミリ動いても大きなズレが生じます。しかも、現場で頻繁にテストするわけにもいきません。実際の点灯まで不安でしたが、思った以上に明るくきれいに映し出すことができて我々も驚いたほどです」と、当日の様子を語るのは、事業開発部の小笠原政文担当部長です。
このレインボーブリッジのライトアップ。一日だけのスペシャル・イベントでしたが、実は首都高にとっては単なる一過性のイベントではなく、公益的広告事業の可能性を広げる重要なステップの一つだったのです。


日本橋の橋脚に4桁の数字

  • 日本橋でのアドコミュニケーション

「首都高では、メインの道路事業のほかに、様々な新規事業を展開しています。担当する『事業開発部』は、道路収入と完全に切り離された関連事業についての会計で運営されているので、首都高の中の小さな会社と言ってもいいでしょう。事業内容は、首都高の構造物の有効活用や、首都高ならではの技術やノウハウを活かした新規事業の開拓です。レインボーブリッジのライトアップも、首都高の施設を公益的なメッセージを発信する広告媒体として利用する試みの一つだったのです」(小笠原担当部長 以下同)
都心から郊外まで、様々な構造物を有する首都高ですが、そのすべてを自由に広告に使っていいわけではありません。基本的に道路そのものを広告に使用することは、屋外広告物条例で規制されているのです。その他にも道路に関わる規制はあります。

  • 横浜ベイブリッジ

「ただ、メッセージに公益性があり、地域の振興や活性化につながる社会貢献性の高いものであれば可能性はあります。日本橋の橋脚で広告を展開したことが実はその第一歩だったんですよ」
2009年3月、日本橋上空に架かる首都高の橋脚に、「1603」「1911」「2016」と数字だけがアートのように表現されました。見た人は「何の数字だろう」と思ったことでしょう。
「実は、1603年は初めて日本橋が架けられた年、1911年は現在の橋が架けられた年、2016年は東京が招致を目指すオリンピック開催の年です。おや?何?と思いを巡らせることで、日本橋の歴史に興味を持ったり、街の話題のきっかけになったりすればいいなと考えたのです。地元の方々にも好評で、当初1ヵ月の予定が2ヵ月に延長されました」

こうした、都市の魅力を高め、人々のコミュニケーションの促進を図る広告が、首都高の目指す公益的広告事業なのです。
この2例の他にも、「世界糖尿病デー」にレインボーブリッジと横浜ベイブリッジをブルーライトアップ、食料自給率向上を目指す「緑提灯」活動の一環としてレインボーブリッジのケーブルを緑に点灯するなど、実績を一つひとつ積み重ねながら事業の可能性を広げています。

与野に誕生する2万平米の利便増進施設

  • 首都高トランクルーム恵比寿

これら情報コミュニケーション事業の他にも、道路サービス事業、生活サービス事業、不動産・都市づくり事業、コンサルティング事業などを展開しています。
具体的には、道路サービス事業では駐車場事業(5ヵ所)や首都高のパーキングエリア事業を推進。生活サービス事業では、2010年8月10日に高架下スペースを有効活用した「首都高トランクルーム恵比寿」がオープンしました。 「トランクルーム事業は、周辺地域にお住まいの皆様のより良い住環境の創造に貢献する施設として展開していきたいと考えています。また、埼玉大宮線の与野ジャンクション内では、約2万平方メートルにおよぶ与野利便増進施設が2010年9月18日にオープンする予定です」
与野利便増進施設とは、道路建設予定地として管理されている場所を道路建設工事が始まるまでの暫定期間、首都高のお客様あるいは、地域の皆様の憩いの場として活用すべく、地元の物産を紹介・販売する施設、さいたま市のインフォメーション、道路交通情報、イベントスペース、休憩施設、コンビニ、駐車場などが設けられる複合施設です。

与野の利便増進施設(イメージ)/与野中央広場(イメージ)

さらに、不動産関連では、首都高の社宅などの自社資産を活用した賃貸住宅の建設・運営が計画されています。
一方、首都高をはじめとする首都高グループが一体となって、道路の建設や維持管理などに関する高度なノウハウを地方自治体や海外のプロジェクトに提供していく技術コンサルティング事業も推進中です。2010年度実施中の主な案件である、国土交通省管理の鋼橋についての疲労対策検討業務、タイのチャオプラヤ川に架かる12の橋の長期維持管理計画の策定業務、ベトナム国インフラ工事品質向上プロジェクトとして主に施工管理技術資格制度の確立を目的としたコンサルティング業務などはその一例です。


タイ国チャオプラヤ川12架橋点検計画策定業務に係る関係者(DRR,JICA,JICA調査団)打合せ風景(タイ バンコクのDRR会議室にて)/タイ国チャオプラヤ川架橋の一つクルンテープ橋(トラス橋)

「首都高が民営化して5年になります。企業としての立ち上げの期間を終え、今後はいかに健全で発展的な企業運営をしていくかが問われます。道路事業はもちろん新規事業分野においても、お客様や近隣の方々に支持され、社会で必要とされる首都高ならではの事業を展開していきたいと考えています。社員が実現したいアイデアを提案し、自ら実現化に取り組む『首都高バーチャルハリウッド』のプログラムも導入し、その事業化第一弾もスタートしています。新規事業はまだまだ助走の段階ではありますが、どんどん新しいビジネスにチャレンジし、いずれは大きなジャンプを実現したいと考えています」


2010年8月20日 掲載