RENEWAL

首都高リニューアルプロジェクト
羽田線(東品川・鮫洲)更新

新型プレキャスト壁高欄(EMC壁高欄™)
~設置や取替えが容易な壁高欄の開発~

 劣化や車両の衝突により損傷した壁高欄の補修や取替えには、現場でのコンクリート打設が伴うことがあり、長時間の交通規制を要する可能性がある。プレキャスト製壁高欄は様々な種類のものが製品化されているが、劣化・衝突等による取替え性まで考慮されていないものが多い。このような課題を解決すべく、施工性(設置の容易性)と維持管理性(取替え容易性)に特に配慮したEMC(Easy Maintenance and Construction)壁高欄を開発した。

 プレキャスト部材を使用することと、床版との固定および部材同士の接続に取替え可能なボルトを使用することで、場所打ち壁高欄と比較すると、施工性が向上し、工程も1/5程度に短縮可能である。また、想定外の荷重が作用した場合も、壁高欄基部が先行して破壊するよう設計しており、万が一破損しても床版に損傷が及ばず、ボルト接合としているため交換作業も容易で、維持管理性の向上が期待できる。使用するボルトには防錆処理を施しており、接合部の無収縮モルタル充填部にも適切な止水処理を行うことで、十分な耐久性を確保している。さらに、床版上での作業となるため、足場や防護工の設置・解体作業が最小限となり、施工時の安全性も向上する。

<EMC壁高欄の構造概念>

EMC壁高欄
EMC壁高欄

 EMC壁高欄が、車両用防護柵としての耐力や要求性能を満足しているかを確認するために、静的載荷実験と実車衝突実験を実施した。静的載荷実験により、設計上の衝突荷重に対して約4倍の耐荷力が得られ、十分な耐力を有する構造であることを確認した。また、実車衝突実験では、25tトラックが衝突角度15度、時速65kmで衝突する際と同等の衝撃度に対して、性能低下を引き起こさず、全ての要求性能を満足する結果が得られている。

<実車衝突実験>

EMC壁高欄™は、首都高速道路(株)、(株)大林組、PGF協会で共同開発したものです。