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乗り物プロファイル

環境配慮型多電源標識車

今日は、道路工事や事故の現場で、通行する車と作業する人の安全を守るエコな標識車について学ぼう!
エコな車は増えているけど、この車はどんなところがエコなのかな。
お父さんプロフィール:
学生時代からバイクや車で旅するのが趣味だったお父さん。
乗り物の話になると止まりません。
娘さんプロフィール:
乗り物に興味津々な娘さん。
今は自転車だけど大きくなったらバイクにも乗りたいとか。

PROFILE
No.05

環境配慮型多電源標識車

標識車は、道路の清掃、工事、事故後の復旧作業などで車線規制をする際、荷台に取り付けた標識装置を使って通行車両に規制を知らせるための車です。
通常の標識車は、標識装置の電源として、車両のエンジンで発電した電力を使っています。一方、2016年に首都高が開発した環境配慮型多電源標識車は、標識に電力を供給する専用バッテリーと発電機を備え、それらの電源を自動制御するハイブリッド電源システムを搭載しているのが特徴です。エンジンを止めても電力を確保できるため、アイドリングによるCO2排出量や騒音が大幅に抑えられる環境に配慮したエコな標識車です。また停車させたまま丸1日程度標識を表示し続けることが可能です。

  • 長 さ688㎝
  • 高 さ332㎝
  • 重 さ5.6t
  • 性 格物静かでタフ
  • 特 徴排気ガスや騒音を出さずに長時間標識を表示できる
  • 出身地日本

ハイブリッド電源システムのしくみ

ハイブリッド電源システムをオンにしてエンジンを切ると、自動的に標識用バッテリーから標識装置に電力が供給されます。
標識用バッテリーの残量が0%に近付くと、今度は自動でディーゼル発電機が起動し、標識装置への給電と標識用バッテリーの充電を並行して行います。
標識用バッテリーが約80%まで充電されると、ディーゼル発電機が自動的に止まり、電源は標識用バッテリーに戻ります。
標識用バッテリーとディーゼル発電機の両方に異常があれば、車両のエンジンが自動的に起動して発電を始めるので、標識装置への給電が途切れることはありません。
長時間のアイドリングは、CO2排出や騒音の問題に加え、エンジンへの負担が大きく車両の寿命を縮めてしまうというデメリットもあります。また、これまでにも、標識用のバッテリーや発電機だけを載せた工事車両はありましたが、電源の切替に手間がかかる上、操作が複雑で、作業員の負担になっていました。ハイブリッド電源システムの開発によって、そうしたさまざまな問題が解消されています。

標識装置
荷台後部には、作業していることを知らせる大きな標識装置を設置しています。黄色の回転灯、回転幕タイプの標識板、LED式の標識板などが組み込まれ、表示や点灯には電気を使っています。万が一表示が消えてしまうと大きな事故につながるため、作業中は常に標識を点灯させ続ける必要があります。

コントロールパネル
運転席には、ハイブリッド電源システムや標識装置の操作、標識用バッテリーの残量確認などができるコントロールパネルがあります。作業員は、このパネルでハイブリッド電源システムを作動させるだけ。あとは自動で電源が選択されます。

制御盤
ハイブリッド電源システムの制御盤はこの車の“頭脳”です。走行車両の運転手や作業員の命を守る標識装置は、決して消えてはいけないもの。3つの電源をバランス良くコントロールする性能の高さはもちろん、システムの故障しにくさ、安全性も重視し、約4年をかけて開発されました。

「電源切れの心配がないから安心して仕事ができる」と作業する人にとても喜ばれているんだって。
作業する人を守ってくれる大事な車なんだね。

ディープサイクルバッテリー
制御盤の下には、DC12Vバッテリーが2個格納されています。フル充電で標識装置を約10時間使用できる高性能バッテリーで、繰り返しの放充電に強く、一般の電源から直接充電することも可能です。

超低騒音型ディーゼル発電機
排気量320ccと小さく、車のエンジンに比べて発電時の騒音やCO2排出量が大きく抑えられます。車両と同じディーゼル燃料の発電機を採用しているのもポイント。発電機の燃料は、車両の燃料タンクから自動給油されるため、長時間の発電が可能です。

コードリール
スマートフォンのように一般商用電源(100V、15A)からディープサイクルバッテリーへの充電や、標識装置への直接給電をする際に使います。一般の電源が確保できる場所ではコンセントに差し込むだけで、発電機を稼働させなくてもバッテリーの充電ができます。さらに、標識装置へ直接給電もできるので、発電機やエンジンを一切使わずに標識を表示し続けることが可能です。より環境にやさしく、燃料コストを大きく抑え、さらには車両寿命も延ばせられるエコでサステナブルなシステムです。

お父さんの豆知識
ハイブリッド電源システムは、首都高のほかの工事車両でも使い始めているんだ。工事用の車だけじゃなく、電源が必要な移動販売車やコンサートトラックにも使えそうだね。
いろんな車に使えるんだね!環境にやさしい車がもっと増えるといいな。

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