RENEWAL

首都高リニューアルプロジェクト
羽田線(東品川・鮫洲)更新

鮫洲埋立部の構造概要
~長期の耐久性と維持管理性の向上を目指して~

 更新前の鮫洲埋立部は、現在では仮設構造物として用いられる鋼矢板によって締切られた構造形式をとっており、土中内部のタイロッドが腐食・破断し、鋼矢板が海側にはらむことで、路面のひび割れや陥没が発生した。暫定的な安全性・供用性を確保するために、鋼矢板の変状を抑制するためのグラウンドアンカーを施工しているものの、長期にわたる耐久性や維持管理性を確保する必要があった。

<鮫洲埋立部の損傷状況>

路面の陥没
鮫洲埋立部の損傷状況

 鮫洲埋立部では、海水面から十分な離隔を確保することができないこと、既設のタイロッドやグラウンドアンカーが密に配置されており、新たな基礎の施工が困難なことから、高架構造ではなく嵩上げ構造としている。具体的には、既設鋼矢板内の液状化対策や地耐力強化のため、高圧噴射攪拌工法を用いた地盤改良を行うことで形成した基盤面上に、リブ付U型セグメントとPC合成床版(PC板+RC場所打ち床版)から成るプレキャストU型ボックス構造を採用した。プレキャスト構造の採用により、高品質な工場製作部材による高耐久化を図るとともに、現場での施工量縮減が生産性向上につながり、急速施工を実現している。

 鮫洲埋立部は、縦断方向にプレキャストU型ボックスが27ブロック並んでおり、総延長は約450mである。プレキャストU型ボックス1ブロック(16.5m)は、長さ1.5mのセグメント11基で構成されており、1ブロックごとに縦断方向のPC鋼材(外ケーブル)で連結することで、縦断方向の耐震性を向上させている。約22tのセグメントを、改造した30t吊フォークリフトを用いて設置した。

 プレキャストU型ボックス構造は、過去の損傷状況などから、十分な耐久性と維持管理性を有したものとする必要がある。鉄筋かぶりは、最も厳しい塩害環境下におかれたコンクリート橋で適用される70mm以上を確保し、全面的にエポキシ樹脂被覆鉄筋を使用することで、腐食に対する高い耐久性を確保している。また、プレキャストU型ボックス内部は、全長にわたって約2mの高さの点検スペースを設けており、移動が容易で天候などに左右されない恒久的な維持管理性を確保している。

<鮫洲埋立部の構造概要と施工概要>

鮫洲埋立部の構造概要と施工概要
鮫洲埋立部の構造概要と施工概要