RENEWAL

首都高リニューアルプロジェクト
羽田線(東品川・鮫洲)更新

鋼管矢板基礎の採用
~限られたスペースで周りの構造物に大きな影響を与えない基礎の構築~

 東品川桟橋部の基礎は、海上であることに加えて、う回路や既設1号羽田線、東京モノレールなどが近接して並走しているため、非常に狭隘なスペースでの施工となる。そのため、本更新工事において新しく構築する基礎の大きさは制限され、また、近接構造物への影響が懸念されることから、施工方法も限られた厳しい条件下にあった。

 更新線の基礎には、海上での実績が多く、基礎寸法が縮小可能な鋼管矢板基礎を採用した。東品川桟橋部の地盤は、表層がヘドロ層で、中間層に軟弱粘性土層が厚く堆積しており、基礎の周面摩擦の確保が難しい。より大きな周面摩擦を確保するため、基礎の形状は、限られた範囲で表面積が大きく確保できる矩形とした。更新線Ⅰ期とⅡ期は段階的に施工し、最終的に上下線が一体化したラーメン構造とする計画であるため、更新線Ⅰ期完成時は最終形と比べて不安定な構造となることが課題であった。そのため、柱位置を上部工の構造中心とすることで、常時偏心荷重を受けないようにし、また、更新線Ⅱ期完成時に基礎を一体化することで不等沈下による影響を低減させた。本工事では、構築する構造物の耐用年数100年を目標としているため、鋼管矢板の板厚に3mmの腐食代を考慮し、板厚11mm~25mmと設定している。

<鋼管矢板基礎施工状況(ウォータージェット併用圧入工法)>

鋼管矢板基礎施工状況(ウォータージェット併用圧入工法)
鋼管矢板基礎施工状況(ウォータージェット併用圧入工法)

 鋼管矢板の打設には、狭隘なスペースでも施工可能な油圧式杭圧入引抜機によるウォータージェット併用圧入工法を採用している。また、鋼管矢板内を掘削する際の鋼管矢板の水平変位が既設構造物に与える影響が大きいことから、掘削前に頂版底面に1.5mの厚さの先行地中梁を設置することで支点を追加し、鋼管矢板の変位を抑制することとした。鋼管矢板内の先行地中梁には、改良径が大きく、工期とコストが縮減可能な高圧噴射攪拌工法を採用している。