「東品川桟橋・鮫洲埋立部更新」を担当する更新・建設局の大塚敬三 局長に、更新・建設局の特徴や、当該事業との関わり、今後の思いなどを聞きました。

――更新・建設局の事業内容と、局長に就任された時のお気持ちをお聞かせください。
大塚 更新・建設局は、昨年2020年(令和2年)7月に行われた組織改編で、東京西局プロジェクト本部※1と神奈川建設局※2の合併によって発足した“首都高で唯一の建設局”です。現在所掌する主な事業は、「東品川桟橋・鮫洲埋立部更新」「池尻・三軒茶屋入口付近更新・付加車線増設」「高速大師橋更新」「日本橋区間地下化事業」「新大宮上尾道路(与野~上尾南)新設」の5事業と他機関からの受託事業です。
私自身はこれまで、神奈川建設局の設計課長・建設部長として、横浜北線・横浜北西線の事業に携わりました。また、大規模更新事業の最初の立ち上げにも携わりました。局長として、建設と更新の両方の事業に再び関わることに、喜びと重責を感じています。
首都高のネットワーク整備は北西線開通をもってひと区切りとなり、今後、新路線の開通や延伸事業は少なくなります。しかし、供用中の構造物を造り替える大規模更新事業も、より高度な技術を要する新設事業と言えます。更新・建設局においてそのような事業に携われる幸せを、局の職員一人一人が噛みしめながら、実務を通じて各々の能力を向上させていく組織にしたいと思っています。
(※1)東京西局プロジェクト本部: 10号晴海線(晴海~豊洲)[2018年3月開通]、小松川JCT(埼玉方面⇔千葉方面)[2019年12月開通]、3号渋谷線(下り)渋谷入口[2019年12月開通]などの建設を担当。
(※2)神奈川建設局: 神奈川7号横浜北線[2017年3月開通]、神奈川7号横浜北西線[2020年3月開通]などの建設を担当。
――「東品川桟橋・鮫洲埋立部更新」における構造物の特徴を教えてください。
大塚 当更新事業では、長期耐久性と維持管理性に優れた構造への造り替えを行っています。
東品川桟橋部(約1.3km)では、海水面から道路構造物までの離隔を確保した高架橋へ更新しています。海上部という厳しい腐食環境を考慮し、橋脚にステンレス被覆等を施して、耐久性を向上させました。また高架道路の本体にあたる上部工は、維持管理がしやすいシンプルな構造形式とし、海上部でも確実な維持管理性を確保するために常設の恒久足場を設置しています。
鮫洲埋立部(約0.6km)では、地盤改良体の上に橋梁用プレキャストセグメントを用いたボックスカルバートを構築しています。カルバートが海水面に近いことから、十分な鉄筋のかぶり厚の確保や、エポキシ樹脂塗装鉄筋の採用等により、耐久性を向上させています。さらに、形状の工夫とPC部材の活用により部材厚を縮小し、十分な維持管理スペースを確保した構造になっています。

――「東品川桟橋・鮫洲埋立部更新」との最初の関わりを教えてください。
大塚 首都高の維持管理上の問題と機能的な課題を解消し、首都高ネットワークを長期にわたり健全に保つため、更新事業の基本的な考え方を検討する「首都高速道路構造物の大規模更新のあり方に関する調査研究委員会(委員長 涌井史郎:東京都市大学環境情報学部教授(当時))」(以下、「委員会」)が、2012年に設立されました。首都高の最初の供用が1962年(昭和37年)ですので、50年の節目の年でした。
その年の3月5日に第1回委員会が開催され、私は計画・環境部の計画調整課長として、事務局の仕事に没頭しました。昼夜を問わず、計画・保全の合同チームで取り組めたことは、私のかけがえのない財産となりました。以来、7回に及ぶ議論が重ねられ、2013年1月15日に委員会からの提言を受け、そこで選定された大規模更新区間の目玉が、高速1号羽田線(東品川・鮫洲)区間でした。
なお昨年、私が局長として着任した時点では既に、う回路と更新上り線が完成していました。2014年(平成26年)の事業化から現在までの短期間に、これほどまで工事を進めることができ、この事業に関わってこられた方々のご苦労に対して感謝の気持ちでいっぱいです。
――最後に、当該事業に対する今後の思いを聞かせてください。
大塚 「東品川桟橋・鮫洲埋立部更新」は、言うなれば“首都高の大規模更新事業の一丁目一番地”です。この事業をきちんと仕上げることが、今後の当社の大規模更新事業への信頼につながると考えています。
お客様や、近隣にお住まいの方々へのご迷惑を最小限に抑えつつ、必ずや安全にやり遂げたいと思います。皆様のご理解とご協力を、よろしくお願いいたします。