RENEWAL

首都高リニューアルプロジェクト
羽田線(東品川・鮫洲)更新

インタビュー「東品川桟橋・鮫洲埋立部更新」の現状と今後への望み

「東品川桟橋・鮫洲埋立部更新」を担当する更新・建設局の岡野孝司 事業推進部長(東京地区)に、当該事業の特徴や今後への思いなどを聞きました。

岡野孝司事業推進部長

――事業推進部長(東京地区)に就任された時のお気持ちをお聞かせください。

岡野 これまでは更新・建設局 品川工事事務所長を務めていましたが、2022年7月より更新・建設局 事業推進部長(東京地区)となりました。品川工事事務所は、東品川桟橋・鮫洲埋立部更新工事を安全・確実に進めていく最前線に位置し、私も日々、更新工事の管理に携わってまいりました。引き続き当事業に携われることになり、より一層の責任感を感じています。
 工事の進捗としては、2017年9月にう回路(上り線)、2020年6月に更新上り線(暫定下り線)を供用しました。これで高齢化した道路を使用することがなくなり、完全な形ではありませんが暫定形含め、現在全ての区間において、構造物を更新した状態になりました。今後は更新下り線の供用に向けて、着々と、安全に工事を進めるべく邁進していきたいと思います。

――品川工事事務所長時代に苦労した点など、思い出を教えてください。

岡野 2020年6月の更新上り線(暫定下り線)供用以降の更新下り線工事は、首都高と東京モノレールに挟まれた細長い空間で行っています。交通の流れを止めることなく工事を遂行する必要があることから、日々の安全管理を最優先に、工事を実施してまいりました。
 特に他の施設と交差している場所での架設となる、大井北ふ頭橋上(都道316号)や、大井水管橋上などにあっては、細心の注意を払い実施したことを覚えています。
 地道でありますが、日々の一つ一つの積み重ねが、安全につながっていると思います。

――最近では、YouTubeなどを用いて、積極的に情報発信をしているようですが、今後どのようにアピールしていきたいですか。

岡野 これまでに当現場では、4,500人以上の現場視察とともに、多くの学生や海外からの視察なども受け入れてきました。現在はコロナ禍ということもあり、現場視察がなかなか難しい状況です。そのためYouTube動画やホームページなどをメインに、工事の情報発信をしています。
 YouTube動画やホームページは、いつでも、どこにいても、何回でも視聴できるメリットがあり、また20代・30代の若年層に対しても大きな影響力を持っています。これまでは、工事現場を知ってもらうための主な手段は現場視察でしたが、今後はネットを通じて情報発信を行うことで、多くの方々に当事業への理解を深めていただきたいと思います。
 皆様が、様々な媒体を通じて首都高の役割を知り、理解を深めていただけるよう、私たちはこれからも積極的に情報発信していきたいと考えています。

――今後への思いや、力を入れていきたいことをお話しください。

岡野 幸いにもこの現場では、隣接地に都市計画道路用地を確保できているため、う回路を確保しながら行う「造り替えながら工事」を実施することができています。それにより、お客様へのご迷惑を最小限に抑えながら、工事を進められています。
 首都高ではこれからも、構造物の高齢化が進みます。そのため重大損傷の増加、補修を繰り返しても構造物の性能が十分に回復しない事例、構造物の狭隘部など点検困難箇所における損傷等といった新たな課題もあります。そして首都高は構造物を健全な状態に保つため、羽田トンネルや荒川湾岸橋をはじめとする新たな大規模更新・修繕にも対応していきます。
 これらの工事を、着実に、安全に行うためにも、更新工事に関わる土木技術の継承が大変重要と考えています。その中で、東品川桟橋・鮫洲埋立部更新が先の成功例となり、さらには首都高以外の都市土木における更新技術の先駆けとなることを願っています。
 最後に、更新工事は工事区間沿道の皆様はじめ、多くの方々のご理解・ご協力がなくては成し遂げられないものです。引き続き、皆様のご理解とご協力を、どうぞよろしくお願いいたします。

岡野孝司事業推進部長