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首都高ドライブ心理ハック

Vol.02 運転 × 視線

車が“危険”に吸い寄せられてしまう!?
「視覚吸引作用」を解説!

首都高心理ナビゲーター

運転をしていると案内標識や路面標示、さらには前方の車や速度メーターなど、様々な情報が視界に入ってきます。ドライバーはそれらの情報を見て適切な判断を下し、安全に運転することが求められますが、時には意図せず“危険”に近づいてしまうことも起こり得るのです。今回は、そのように身体が“危険”に向かってしまう人の習性「視覚吸引作用」についてご紹介します。

「壁に車が吸い寄せられている気がする…」という経験はありますか?

高速道路で右カーブの道を走行しているとき、「壁(あるいはガードレールなど)がどんどん迫ってきている気がする……」と恐怖を感じたことがある人もいるかもしれません。あるいは、前方を走行するトラックを注視しながら追い抜こうとしたとき、なぜかトラックに吸い寄せられているような感覚を抱くケースもあるでしょう。これは走行中に「恐い」「危ない」と感じるものなどを目で捉えたときに起こり得るもので、原因として人の“とある習性”が大きく関係しています。

人は「魅力的なもの」や「危険なもの」に注意を向けた結果、
無意識に近づいてしまう!?

偶然目に入ってきた綺麗な花や風景、あるいはパプリックアート作品など、人は「魅力的」と感じた対象物をじっと見つめてしまう習性があります。おそらく、心当たりのある方がほとんどではないでしょうか? さらに、視線(注意)の向いているほうへと無意識のうちに身体が向かってしまうことがあり、このような人の習性を「視覚吸引作用しかくきゅういんさよう」といいます。そして気をつけなくてはならないのが、実は“危険と認識した対象物”に対しても「視覚吸引作用」が発生するという点です。

「視覚吸引作用」の対処法はシンプル!“危険”に集中した視線を外すこと!

先に挙げた例のように、右カーブを走行する際に左側の壁に対して「恐い」「危険」と感じたとき、視覚吸引作用によって無意識に壁に視線が集中してしまう恐れがあります。さらには、運転している車が壁に近づいてしまう危険性もあり得るでしょう。そのようなときの対処法はシンプルで、“危険”に集中しているその視線を対象物から外すことです。少し勇気が必要ですが、思い切って進行方向へと視線を切り替えると、見ている方向へ車を走らせることにつながります。

首都高では安全走行のための「事故多発地点マップ」を公開しています

首都高速道路が運営する「首都高ドライバーズサイト」にて、事故多発地点とそこでの注意方法についてのマップを掲載しています。首都高を安全にご利用いただくうえで、ぜひ参考にしてみてください。

CHECK「事故多発地点マップ」はコチラでご確認いただけます。

<この記事の監修者>

大阪国際大学 人間健康科学科

山口 直範 教授

大阪国際大学人間健康科学科。専門は交通心理学、臨床発達心理学。元オートバイロードレース国際A級ライダーで、その経験を生かし、国内外でバイクの安全対策や安全教育に取り組んでいる。また、近年では臨床発達心理士の保育経験を生かしJICAやIATSSの研究員として、ASEAN諸国の子どもの交通安全教育にも尽力している。

著書:『子どものための交通安全教育入門―心理学からのアプローチ―(共著)』 (ナカニシヤ出版)

次回の首都高ドライブ心理ハックは12月15日更新予定です

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