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首都高ドライブ心理ハック

Vol.03 運転 × 錯覚

「運転中なのに車が止まっているように感じる…」
不思議な錯覚の謎に迫る!

首都高心理ナビゲーター

みなさんはどのようにして「今、自分は一定の速度で走行している」ということを認識しますか? アクセルの踏み込み、速度メーターの針の動き、車の振動など様々かと思いますが、わかりやすいのは「走行中に流れる周りの風景」ではないでしょうか。しかし、その風景が錯覚を引き起こす危険性もあるため注意が必要です。今回は、そんな不思議な錯覚の謎に迫ります。

“走っているのに止まっているように感じる”という錯覚「追従静止視界ついじゅうせいししかい

運転中、前方を走行する車とは一定の距離を保って走行することも多く、その場合2台の車は自然と同じ速度になっています。同じ速度で一定の距離を保って運転していると(前の車に追従していると)、時には自分が運転する車が止まっているような錯覚に陥ってしまうことがありますが、これを「追従静止視界」といいます。特にある条件を満たしているときに起こりやすく、どんな条件がそれにあたるのか、ドライバーは予め把握しておくことが大切です。

流体刺激りゅうたいしげき」が少ないトンネル内や夜間の走行時に発生しやすい!?

冒頭でも触れたように、走行中に流れる風景によってドライバーは車の速度を感じていますが、こういった視覚で受ける刺激を「流体刺激」といいます。外が明るい日中は流体刺激を強く受けるものの、トンネル内や夜間の道路は見える景色があまり変わらないため流体刺激が弱く、ドライバーは速度を感じにくくなり、結果として車が止まっているように錯覚する追従静止視界につながります。似た錯覚として交差点などで起こり得る「コリジョンコース現象」(田園型事故)というものもあり、環境によって誤った認識をしてしまう恐れがあるため注意が必要です。

追従静止視界が発生する懸念があるときはどう対策すればいい?

追従静止視界に陥ることによって感覚としては車が止まっているように感じていても、前を走る車に合わせて「思っていたよりもスピードを出していた」ということが起こり得ます。速度感覚を失うことで状況把握が正しくできなくなり、速度に応じた車間距離よりも前の車と近くなってしまうなどの危険性も伴います。スピードメーターをしっかりチェックする、車間距離をいつもより空ける、そして視線を一箇所に固定しないなどの対策を行いましょう。

首都高では速度感覚を失いやすい場所に「エスコートライト」を設置

トンネル内や勾配のある区間など、速度感覚を失いやすい場所に「エスコートライト」を設置しています。道路状況に応じて、一定の速度で誘導灯が流れるように発光するので、ドライバーが適正な速度を視覚的に認識しやすくなります。

CHECK「エスコートライト」はコチラでご確認いただけます。

<この記事の監修者>

大阪国際大学 人間健康科学科

山口 直範 教授

大阪国際大学人間健康科学科。専門は交通心理学、臨床発達心理学。元オートバイロードレース国際A級ライダーで、その経験を生かし、国内外でバイクの安全対策や安全教育に取り組んでいる。また、近年では臨床発達心理士の保育経験を生かしJICAやIATSSの研究員として、ASEAN諸国の子どもの交通安全教育にも尽力している。

著書:『子どものための交通安全教育入門―心理学からのアプローチ―(共著)』 (ナカニシヤ出版)

次回の首都高ドライブ心理ハックは3月15日更新予定です

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