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首都高ドライブ心理ハック

Vol.05 運転 × 光

「前を走る車が突然消えた!?」
特に「トンネル走行」の時に気をつけたい、危険な現象とは?

首都高心理ナビゲーター

安全な運転を行うためには、視界がクリアであることが重要ですが、急激な明るさの変化により、一時的に周囲が見えにくい状態に陥ることがあります。そのため、日中のトンネル走行には注意が必要。今回は、特に光の影響を受けやすい、トンネルでの走行時に起こりやすい危険な現象をご紹介します。

トンネルを抜けた瞬間、「前の車がいなくなった…!」こんな錯覚の経験はありませんか?

晴れた日のドライブでトンネルを出た瞬間、「まぶしい!」と感じるとともに、前を走っていたはずの車が見えなくなって驚いた経験があるかもしれません。この現象を「蒸発現象」といいます。人の目は、まぶしさを感じると、瞳孔が縮むため光が当たっている対象が見えづらくなります。また、この現象はグレア効果とも呼ばれ、グラデーションのある絵柄を見たときにも生じます。明るい色に明るいものが重なると、ものの識別をするのが難しくなるため、特に白色系やシルバーなど明るいボディカラーの車が日光に照らされると、グレア効果による目のくらみに加え、周囲の明るさと車が同化し、見えにくくなってしまうのです。

光の変化は対象を消失させる!?「まぶしさ」のワナに注意して!

同じく、トンネルの出口付近で先行車両が見えづらくなる、「逆光現象」にも注意が必要です。これは特に夕暮れの時に、正面から差し込む強い太陽の光によって視界が悪くなり、「蒸発現象」と同じように先行車両が見づらくなるもの。まぶしさから視覚が回復するまでにはおおよそ3秒ほどかかるといわれており、前方確認の遅れが追突などの事故につながる恐れもあります。トンネルを走行するときにはこうした危険があることを予測し、車間距離を十分にとる、トンネルを出てもしばらくテールランプを点灯したままにするなどの対策をとることが大事です。

「ガラスがくもって見えない…」トンネル内では結露も起こる!?

トンネルを走行する際は、気温の変化にも要注意です。首都高速道路の山手トンネル内は、年間を通じて外よりも温度が高いため、特に寒くて湿度が高い日に山手トンネルに入ると、フロントガラスやドアミラーなどにくもり(結露)が発生することがあります。くもりが発生する危険があるときには文字情報板で「ライト点灯ミラーくもり注意」とお知らせをしているので、ライトをつけ、周囲に気を配りながら走行してください。

トンネル走行の際にはこれらの現象に注意を払い、安全な運転を心掛けましょう。

<この記事の監修者>

大阪国際大学 人間健康科学科

山口 直範 教授

専門は交通心理学、臨床発達心理学。元オートバイロードレース国際A級ライダーで、その経験を生かし、国内外でバイクの安全対策や安全教育に取り組んでいる。また、近年では臨床発達心理士の保育経験を生かしJICAやIATSSの研究員として、ASEAN諸国の子どもの交通安全教育にも尽力している。

著書:『子どものための交通安全教育入門―心理学からのアプローチ―(共著)』 (ナカニシヤ出版)

次回の首都高ドライブ心理ハックは9月20日更新予定です

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