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首都高ドライブ心理ハック

Vol.06 運転 × プレッシャー

急ぐ気持ちがミスを誘う!
「タイムプレッシャー」への対策とは?

首都高心理ナビゲーター

長い距離を短時間で移動できるのが高速道路を利用するメリットです。ただ、「1分でも早く目的地に着きたい」と時間へのストレスを感じながら運転していると、事故の危険性が高まってしまう恐れがあります。今回は、時間的な制約から生じるストレス「タイムプレッシャー」についてご紹介します。

危険な運転を引き起こしてしまう時間のストレス「タイムプレッシャー」

「約束の時間に間に合わない」「信号が青のうちにあの交差点を通過したい」と、ついスピードを上げたり、車間距離を詰めてしまったりしたことはありませんか? そうした危険な運転を引き起こす原因となる心理的要因が、タイムプレッシャー(時間的圧力)です。タイムプレッシャーとは、待ち合わせ、仕事の納期、試験の期日などの時間的制約を受けた状態で何らかの作業をする時に感じる心理作用をいいます。

急ぐ気持ちが事故やヒヤリ・ハットの原因に!

人はタイムプレッシャーを感じると、通常の判断や行動ができなくなります。たとえば「期間限定セールだったので、つい買うつもりのなかった物を買ってしまった」といった失敗も、タイムプレッシャーが影響しています。運転中にタイムプレッシャーを感じると、急ごうとして焦りやイライラが生じます。そして、いつもは慎重に運転している人でも、危険な運転をしていることに気がつかなかったり、少し危険かなとは思っても大丈夫だろうと甘い判断をしたりするようになります。こういう運転を続けていくと、そのうち、「ヒヤリ」としたり「ハッ」とするような事態を招くことになり、さらには事故を起こすことになります。

道路はみんなのもの。「思うようにいかなくて当たり前」が焦りを防ぐ

公共の場である道路では、たくさんの人が、それぞれの理由で、それぞれの目的地に向かって移動しています。道路を通行している人は、みな平等な交通参加者です。タイムプレッシャーによる焦りやイライラを防ぐには、道路は自分のためだけのものではない、自分の思い通りに行かなくて当たり前だ、という意識を持つことが大切です。10分遅れそうだからと急いだ運転をして、万が一事故を起こしてしまったら、遅れは10分では済みません。時間と心にゆとりを持ち、「おたがいさま」の気持ちで安全運転を心掛けましょう。

<この記事の監修者>

九州大学 大学院システム情報科学研究院

志堂寺 和則 教授

専門は交通心理学、認知科学、ヒューマンインタフェース。日本交通心理学会副会長。ドライビングシミュレーターを用いた運転行動の計測などを通し、運転者支援や教育の観点から自動車事故防止研究に取り組む。また、交通事故防止に関する講演・講座にも多数協力している。

著書:『交通心理学』(北大路書房:分担執筆)、『交通心理学入門』(企業開発センター交通問題研究室:分担執筆)等

次回の首都高ドライブ心理ハックは12月20日更新予定です

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