首都高グループ(以下、首都高)は、カーボンニュートラルに向けた取り組みや生物多様性保全を推進し、次世代の豊かな暮らしの実現を目指しています。
2026年度も引き続き取り組みを紹介していきます。本年度のvol.1は、都市部の道路空間を生かした自然共生の取り組みの代表的な活動の場である、「おおはし里の杜」についてです。
▲おおはし里の杜
自然再生緑地「おおはし里の杜」とは
「おおはし里の杜※」とは、昭和初期の目黒川周辺の原風景をモデルに、3号渋谷線と中央環状線をむすぶ、大橋ジャンクション内のトンネル換気所屋上に整備した自然再生緑地です。
本緑地は、植栽景観の再生による多様な生きものの生育空間となる環境の創出や地域の方々との交流を図ることで経営理念である「地域社会との共生」の実践を目的としています。

▲おおはし里の杜 航空写真(赤枠箇所、大橋ジャンクション換気所屋上)
※大橋ジャンクション屋上には、おおはし里の杜のほか目黒区立「目黒天空庭園」が整備されています。
大橋ジャンクションの建設にあたっては、地域分断や環境問題など、周辺への様々な影響が課題となっていました。そこで、大橋地区の適切な道路整備とより良い街づくりを目指し、「まち・みち・再開発一体プロジェクト」として、長期的な視点に立った一体的な整備を進めました。
また、ジャンクションを覆蓋化することで、騒音や排気ガスによる周辺環境への影響を軽減するだけでなく、屋上空間を有効活用する形で、緑地や公園を整備するきっかけとなりました。
このような経緯で整備されたおおはし里の杜では、整備当初から実施しているモニタリング調査の結果から多種多様な生きものの生息が確認できます。2025年度は、467種の動植物が確認されており、特にモニタリングを開始した2011年度と比較して、昆虫類が約3倍に増加しています。

▲モニタリング調査結果
■外部からの高い評価
おおはし里の杜では、地域社会との共生及び生物多様性保全の推進に向けて、多様な生きものの生息・生育空間である「生きもの中心の緑地」として整備してきました。整備後も生態系に配慮した維持管理や環境教育の場としての活用などが、外部から高い評価を受けています。
■第5回グリーンインフラ大賞「国土交通大臣賞」受賞
グリーンインフラ官民連携プラットフォームが主催する、第5回グリーンインフラ大賞において、都市部の道路空間という限られたスペースの中で工夫を施した象徴的な事業である点や、地域と連携し環境教育の場として活用している点などが評価され、高速道路会社で初めて最高位である「国土交通大臣賞」を受賞しました。

■自然共生サイト認定・OECM登録
自然共生サイトは、「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」を国(環境省)が認定する制度です。おおはし里の杜は、換気所屋上という特殊な場所に整備された自然再生緑地が周辺の緑をつなぐエコロジカル・ネットワークの一部として機能し、都市緑化の優良モデルとなっている点などが評価され、2023年度に高速道路会社として初めて認定されました。この認定を通じて、2024年度には国際データベース(OECM)としても登録され、生物多様性を効率的かつ長期的に保全しうる地域として認められました。

また、おおはし里の杜では、近隣の小学生を招待して年間を通じた稲作体験(田植え、自然観察会、稲刈り、脱穀)を実施しており、自然学習や農体験、食育など多面的な学習に寄与しております。さらに、社内研修の一環として若手社員も参加することで、社内においても環境や地域社会との共生に対する理解を促進しています。
このように、生態系に配慮した維持管理や環境教育の場としての活用などが、自然共生サイトなどの認定制度を含め、外部から高い評価を受けています。
今回のvol.1では、環境教育の代表的な活動事例である稲作体験の前半パートとして、2026年5月に行われた「田植え」と、6月の「自然観察会」の様子を中心にお届けします。
大奮闘!笑顔と真剣な表情あふれる「田植え」
「おおはし里の杜」の象徴でもある田んぼ。今年も近隣の小学生を招き、絶好の田植え日和を迎えました。この日に向けて事前学習も行っており、準備万端です。
▲事前学習の様子
普段の生活ではなかなか触れることのない、ひんやりとした泥の感触に、子どもたちからは歓声が上がります。足がうまく抜けずよろけそうになりながらも、一歩一歩、泥の感触を確かめるように進んでいました。
▲田んぼを歩く子どもたち
子どもたちのほとんどは、田植え初経験ということもあり、最初は不慣れな手つきで稲を植えていましたが、後半になるとコツを掴んでスムーズに植えられるようになりました。中には泥まみれになる子どももいましたが、楽しみながら真剣に体験している様子がとても印象的でした。
また、研修として参加した若手社員からは、「おおはし里の杜の存在は知っていたが、実際に足を運んだことがなかったため、地域社会との共生に向けた取り組みについて知る良い機会となった。」「普段関わることのない子どもたちとコミュニケーションを取ることで、エネルギーをもらえた。」といったコメントが寄せられ、社員にとっても充実した体験となりました。
▲田植えの様子
子どもたちの頑張りのおかげで、最後にはきれいな緑の列が田んぼ一面に並びました。
▲田植え直後の稲
大調査!すくすく育つ稲と動植物に目を輝かせる「自然観察会」
自然観察会では、おおはし里の杜に生息する生きもの探しと田んぼで育った稲のモニタリング調査を行いました。
▲田植えから1か月経過した稲
■斜面林で草地の野草・昆虫さがし
開会式での挨拶に「色々な生きものを観察することが楽しみです!」とあったように、子どもたちはチェックリストに載っている動植物をまるで宝探しのような感覚で探しており、現場は大いに盛り上がっていました。
おおはし里の杜は、都心部とは思えないほど多種多様な生きものの住処となっています。中には草陰に隠れてなかなか見つけづらい動植物もありましたが、「どこにいるかな?」「このあたりにあるかも!」と力を合わせてお目当ての動植物を一生懸命探し出していました。限られた時間の中での探索ではありましたが、チェックリストに載っている動植物をすべて見つけている子どもも多くいました。
▲生きもの探しの様子
▲チェックリスト
また、この日はヤゴがトンボへ羽化する様子も間近で観察することができました。
▲ヤゴがトンボに羽化する様子(写真中央、シオカラトンボ)
■田んぼ・稲のモニタリング調査
1か月前に植えた稲が育つ田んぼにて、田んぼのにおいや水の深さの測定、稲の観察を行いました。
こちらは、カラースケールを用いて葉の色を観察することで稲の健康状態を確認している様子です。田植えをした時の葉の色よりも緑が濃くなっていました。
▲カラースケールを用いた葉の観察
定規を使って稲の高さも測定しました。結果は、高さ30~40cmで、田植え後からすくすくと順調に育っているのが見てとれます。想像以上の生長の早さに子どもたちは驚いていました。
▲稲の高さの測定
その他にも、稲が病気にかかっていないかのチェックや、1つの株の根元付近から新しい茎が分岐して生える「分けつ」と呼ばれる、稲の生長には欠かせない現象の有無なども確認しました。
これらの調査を踏まえた最後の振り返りでは、班の代表者が調査した稲の状態を発表し、どの班も田んぼと稲はいい状態だったという観察結果となりました。次回の稲刈りでは、さらに様変わりした稲の姿を見ることができそうです。
一般公開
生物多様性保全の観点から通常は閉鎖管理をしているおおはし里の杜ですが、年に数回、一般公開日(オープンデー)を設けており、近隣住民の方を中心にたくさんの方に足を運んでいただいております。次回は9月に実施する予定です。実施日が近づきましたら、shuto-E-coサイト・首都高公式Xにて詳細を発信しますので、ご興味がありましたらぜひお越しください。
稲作体験の後半パートである「稲刈り」(9月)及び「脱穀」(10月)の様子についても今後配信を予定しておりますので、引き続きご覧いただけますと幸いです。
今後も首都高では、経営理念である「地域社会との共生」のもと、よりよい環境の実現と地域社会の発展を目指していきます。
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