高架下に豊かな自然を

埼玉新都心線の見沼たんぼ地区では、高架下に延長1.7㎞、6.3㏊のビオトープを整備しており、高速道路の高架下という環境に沢山の生き物が住んでいます。

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さて、ビオトープとは一体どのような意味でしょう?

「生命:バイオ(bio)と場所:トープ(top)の合成語で生物の生息空間のこと」

※日本生態系協会HP参照:http://www.ecosys.or.jp/aboutus/explanation/index.html
つまり、その地域の様々な生き物たちが暮らす場所という意味です。


見沼たんぼ首都高ビオトープでは「自然共生型の新しい都市高速道路」を目指し、
首都近郊に残された数少ない貴重な緑地空間を再生するため、
今から約11年前に整備が完了したあとは、自然の自己再生能力を活かしながら、
モニタリング(定期的な調査)を実施し、動植物の育成のために必要な管理を行っています。
自然の力は大きいようで
どんどん生物が住みやすいところになっています。
動物はキツネやタヌキなどが生息し、
植物はタコノアシ、カワヂシャ、ミゾコウジュ、チガヤなどが生えています!

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(写真:ホンドキツネ)

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(写真:カワヂシャ)

育成期間のため、普段は立ち入りをご遠慮いただいているビオトープ内に
一般市民の方々をお招きし、自然観察を楽しんでいただいたり、
生物多様性を向上させる管理作業にご協力いただくイベントを行っています。

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実は自然の保全だけではなく、高速道路本体でも周辺環境へ配慮した
工夫もしています。
橋桁は風景と調和させるために、なるべくなめらかに低く、背景の
常緑樹の斜面林をイメージして濃緑色に塗装しました。


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また、ビオトープの生き物たちを守るため、夜間に首都高の高架橋から漏れる明かりにより生き物へ影響を与えないよう、照明の位置は低くし、照明器具を箱に入れて路面から約1mの高さに設置し、車の後方から道路面だけを照らすようにしています。

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このほかにも大雨のときに高速道路の路面に降った雨水が近くを流れる芝川に直接流れ込まないよう、ビオトープの地中には大きな水槽のような調整池を整備しています。


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自然と調和するためにはたくさんの苦労が必要となりますが、
いつか、埼玉県の蝶であり、準絶滅危惧に指定されている「ミドリシジミ」(写真)を呼び戻す「ハンノキ・プロジェクト」※が実を結び、ミドリシジミを見ることができるようにこれからも見沼たんぼ首都高ビオトープの管理を行っていきます。
※ハンノキ・プロジェクト
ミドリシジミが好み、かつて見沼たんぼ地域に広く生育していた樹木「ハンノキ」をビオトープに植えることで「ミドリシジミ」の生息環境を取り戻す自然再生プロジェクト

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