6月22日(火)、3週間前に一緒に田植えをした目黒区菅刈小学校5年生・約50名の皆さんに、田んぼに植えた稲の生育状況の調査と生き物探しをしてもらい、生物多様性保全の大切さを感じてもらいました。
梅雨入りし天気が不安でしたが当日は晴れ。稲を植えたばかりの田んぼを目の前にして、ワークシートを見ながら田んぼの状態や稲の生長具合などを調べて行きます。
チェックポイントは「田んぼの匂い」「稲の高さ」「稲の色」「病気がないか」など。
田んぼは酸素の状態が良くないとヘドロのような臭いが発生してしまいます。田んぼの状態はとても良く無臭でした。子供たちは慣れない草や土の匂いを嗅いで「面白い匂いがする。」などいろいろな感想を述べていました。
続いて、植えた稲の生長具合を確認。3週間前に田植えをしたときの稲の高さは15〜18cmほどでした。どれくらい生長しているか田んぼに落ちてしまわないよう腕を伸ばして定規で確認していきます。
稲の高さの結果はなんと約30cm!!
田植え時より12〜15cmほど生長しており、子供たちも喜んでいました。稲はこの時期だと1日0.7cmぐらい、夏になると1日1cmの生長が見られるそう。このまま順調にすくすく生長してほしいですね。
ワークシートのカラースケールと比べながら、稲の葉の色からも健康状態を確認していきます。田植えをしたときは黄緑色の苗でしたが、良い状態の田んぼにしっかりと活着(※)すると栄養によって葉の色がどんどん濃い緑色に変化していきます。
(※植えた稲がしっかりと土に根を張り、栄養や養分、水を吸収できる状態になること)
田植え当初はカラースケールの一番左側だった稲の色も、真ん中あたりの色へ変化。稲の色からも健康状態が良いことが伺えます。
子供たちが気になったのは一部の稲が虫に食べられたあと。おおはし里の杜では生態系の多様性を守るため、あえて農薬をまきません。そのため、どうしても稲を食べる虫も発生してしまいます。しかし、反対に稲を食べてしまう虫を食べてくれる虫も生息することができるため、より豊かな生態系保全をすることができています。
調査後、「稲の葉が虫に食べられてしまっていたが、田んぼや稲の状態は良い状態だと思う」と田んぼと稲の調査結果を発表してくれました。
続いて、おおはし里の杜の"斜面林"を使って「生き物探し」をしていきます。
目黒川周辺の原風景を再現しているおおはし里の杜には、野鳥、昆虫、水の生き物、植物など目黒区に昔から生息してきた生物がたくさん息づいています。今回は、その中から植物に限定して探してみました。
探してもらう植物は12種類。その中には夏から秋にかけて咲く「秋の七草」に含まれる4種類など、普段は意識していないと見つけられない植物があります。よーい、どん!でみんな夢中になって探し始めてくれました。
見つけやすかったのは、キキョウやカワラナデシコなどの色が付いた植物たち。反対になかなか見つけることが難しかったのはコナラなどの自分たちよりも高い目線に生息する植物たち。
▼キキョウ▼
▼カワラナデシコ▼
▼コナラ▼
子どもたちが興味を持ってくれた植物のひとつが「エゴノキ」。エゴノキの実にはサポニンと呼ばれる界面活性作用があるため、昔は石鹸として使われていた時代もあったという話をすると、石鹸とは似つかないエゴノキの実をしげしげと眺めて驚いた表情を見せてくれました。
▼エゴノキの実▼
12種類全ての植物を見つけることができた上、さらにワークシートにはない植物や、田んぼではヤゴの抜け殻やサカマキガイなどもたくさん見つけることができ、子どもたちが自然の多様性を感じることのできる良い機会となりました。同行してくださった副校長先生からは「都心部でこんなにたくさんの生物が見られるとは」と驚きの声も。
▼ヤゴの抜け殻▼
▼オミナエシの花にとまっていたテントウムシ▼
▼メダカ▼
次に菅刈小学校の皆さんと会えるのは秋の稲刈りのとき。それまでスタッフ一同、害虫駆除や環境整備をしながら稲の生長を見守っていきたいと思います。
皆さんも稲の生長を楽しみにしていてくださいね!