首都高速道路の二輪車事故発生状況
- 首都高速道路の二輪車事故の件数は、全体の2%程度と少ない状況ですが、体がむき出しになっていることから事故が重大化しやすく、死傷事故については、二輪車以外と比べて、約16倍発生しやすくなっています。
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二輪車の死亡事故件数は、2018年度には1件でしたが、2019年度は7件と急増しています。
首都高速道路における二輪車事故の発生パターン
二輪車の重大事故を詳細に見ると、カーブ部での自損事故の他、急ブレーキ時の追突事故、合流部での接触事故等が発生しており、主な原因として、スピードの出し過ぎや、他車から視認されていないことなどが挙げられます。
主な事故 | カーブ部での自損事故 | 急ブレーキ時の追突事故 | 合流部等での接触事故 |
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概要 | カーブ部等で速度の出し過ぎによる事故 | 二輪車の急ブレーキ時に後続車が追突 | 合流部等で車線変更する他車との接触事故 |
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二輪車の 注意事項 |
カーブ手前では、十分減速して走行しましょう | 急ブレーキは後続車からの追突の恐れがあります。余裕をもって減速しましょう | 四輪車の死角に入っている場合があります。 周囲の交通状況に注意して走行しましょう |
四輪車の 注意事項 |
スピードを出している二輪車がカーブ部で事故を起こす可能性があります。 特にカーブ手前では二輪車と十分距離を空けて走行しましょう |
二輪車の急ブレーキに気を付け、周辺の状況に注意して十分車間距離を空けて走行しましょう | 二輪車は四輪車に比べ小さいため、死角に入りやすくなっています。周囲の交通状況に注意して走行しましょう |
首都高速道路を二輪車で安全に走行するために
首都高速道路を二輪車で安全に走行するために、以下のことに気を付けて走行しましょう。
首都高速道路はカーブが多い路線です
- 首都高速道路は、密集市街地の中、公共用地を利用しながら建設されたため急カーブとなっている箇所が多数あります。
- カーブ部では、ジョイント(橋梁のつなぎ目)部だけでなく、風等の気象条件によっても挙動が不安定になります。また、スピードの出し過ぎやカーブ部での不安定な挙動により壁面に衝突するといった事故も発生しています。
- カーブ部では手前で十分減速し、安全が確保できる速度で走行してください。
ブレーキ時の追突事故に注意しましょう
二輪車の方へ
- スピードを出し過ぎると停止するまでの距離が長くなります※1。また、急ブレーキをかけると、後続車のブレーキが間に合わず、追突され大事故に繋がる可能性があります。特に大型車は積載貨物の重量により制動距離が長くなり、ブレーキが間に合わないことも想定されます。
- 二輪車で走行時には、周囲に特に注意を払い、十分車間距離をとるとともに、余裕をもってブレーキをかけるようにしましょう。
四輪車の方へ
- 四輪車では、乗車人数や積載貨物の重量により、制動停止距離が延びる※2ことが分かっているため、二輪車の後ろを走行する場合などは十分車間距離を空けて走行してください。
二輪車にも死角があります
二輪車は四輪車と比べ周囲を囲われていないため、死角が少ないと思われがちですが、二輪車にも乗用車と同じ位の死角があります。(首都高速道路実験結果より)
二輪車の方へ
- ミラーだけに頼らず、目視で周囲の状況を確認して安全に配慮して走行しましょう。
四輪車の方へ
- 二輪車は、四輪車、特に大型車の死角に入ってしまうと、四輪車から二輪車はまったく見えなくなります。
- 分合流部や二輪車を追い越して車線変更する際など、二輪車を含め周囲の車両等の位置も十分確認して走行しましょう。
視野が狭くなっています
二輪車はバランスを崩しやすく、路面の影響を受けやすいため、走行時に路面に注視し周囲の状況を十分把握できていない可能性があります。特に合流部等、車両の錯綜が生じている箇所では、広い視野を持ち、他車の動きに十分配慮して走行しましょう。
二輪車の方へ
- 二輪車を運転中は、路面を注視することも大事ですが、周囲を走行する車両の挙動により、ふらついたりすることも想定されます。周囲の状況も十分把握して走行しましょう。
四輪車の方へ
- 四輪車、特に大型車は周囲に風を起こしながら走行しています。
- 二輪車はバランスを崩しやすく、風の影響を直接受けるため、ふらつき等で事故に繋がることが予想されます。二輪車の近くを走行する際には、安全な距離を保って走行しましょう。
この他の二輪車で安全に走行するための注意事項
乗る前に点検等を行いましょう
ロングツーリング前や洗車時等、適切な時期に日常点検を行いましょう。
特にブレーキ、タイヤ、灯火類、燃料の不具合は事故に繋がる恐れがある大事なところです。
適切な格好で
- 二輪車で走行の際は、ヘルメットを正しく装着し、適切な格好で運転しましょう。
- 二輪車で走行すると、想像以上に体温が奪われることがあります。そのため、二輪車で走行する際は、風を通さないウェアを着用しましょう。また、万が一転倒した時を想定して、肌の露出を避け、転倒した際のケガを軽減できる格好にしましょう。可能であればプロテクター等を着用して走行しましょう。
参考:警視庁 Safety Riders!
カーブ走行の基本
カーブ部では、「スローイン・ファーストアウト」が基本です。カーブ部の手前の直線部で十分速度を落とし、周囲の状況に注意しながら安全に走行しましょう。
参考:JAF クルマ何でも質問箱
二人乗り走行と二輪車通行可能区間
- 高速道路では、所要の条件※3を満たした方だけが二輪車で2人乗りができます。
- 首都高速道路では、上記の条件を満たしている場合でも、二輪車の二人乗り通行禁止エリアが東京都公安委員会により指定されています。
- 詳細は「自動二輪車の二人乗り規制」をご覧ください。
※3 所要の条件:20歳以上かつ、大型二輪免許または普通二輪免許を受けていた期間が3年以上