首都高グルグルが私のクルマ史の原点。
Vol.12 2019年4月29日掲載
「ハイ、3速! 2速!」
コーナーに差し掛かると、助手席から先輩編集者の指示が勢いよく飛んでくる。後席にはこの様子をおさめようとファインダーをのぞくカメラマンの姿。深夜の首都高辰巳PAからゆるゆると発進した日産180SXは、当時のいわゆる“新環状”(9号線→都心環状線→11号線→湾岸線)をギクシャクしながらなんとか1周すると、そこから2周、3周と周回を重ねていきました。
もう20年近く前のこと。一般誌の新米クルマ担当として自分のコラムを持つことになった私は、自らのAT限定免許からの脱皮をネタにしようと、AT限定解除後にMT車で初の首都高グルグル特訓を決行、そしてこれが初めての首都高ドライブ体験となったのです。


車内は、予想以上のドタバタ。アップダウンやコーナーに差し掛かるたびに、「あ゛ーーーー!!」とか「ギャーーハハッーー!!」といった絶叫が飛び交い、同乗したお二人にとっても、それはそれは命掛けのドライブだったのでは、と。今、何の問題もなくMT車で首都高を運転することができているのは、このお二人のおかげといっても過言ではありません。本当に足を向けては寝られません。
この首都高絶叫体験をひとつの契機として、クルマ関係の仕事はどんどん広がっていきました。国内のみならず海外メーカーの新車に乗ったり、これまで縁のなかったスーパーカーに触れる機会もあったりと、日々新しい出来事の連続! 初めての首都高ドライブ体験の2年後にはフリーランスの自動車ライターとしての一歩を踏み出し、現在に至っています。
今でも首都高を走ると、ふいにあの深夜の特訓のことを思い出し、身の引き締まるような思いになります。初心に返る、といったらいいんでしょうか。首都高は私のクルマ史の原点だったんですね、ホントに。足を向けては寝られません。
※当コラム及び著者プロフィール等の内容は掲載時のものです。

スーザン史子さん
(モータージャーナリスト)(2019年4月現在)
- profile
- 出版社にて一般誌クルマ担当編集になったことをきっかけに、自動車ライターに転身。女性誌や専門誌、web等で、おもにクルマに関する記事を執筆。10年に息子を出産、ママ目線での車の使いやすさにも注目するかたわら、安全運転講習の講師を務めるなど、クルマ生活に役立つ情報を提供している。また、近年は旅やグルメにも関心を寄せ、さらに執筆の幅を広げている。日本自動車ジャーナリスト協会会員。
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