Volume 12
「首都高NEWS LOVE（完結編）」

ドライブ当日。朝起きると竹内さんからLINEがきていた。

『ルミネの地下駐車場に着いたら連絡しますね』

その日はルミネtheよしもとの出番があって、マネージャーが出順を調節してくれたので公演と公演の間が4時間あり、そこに竹内さんとの取材ドライブを入れてくれたのだ。

劇場出番の合間の時間を無駄なく有意義に使えるように、マネージャーは取材や打ち合わせのスケジュールを組んでくれたり、芸人も各々ネタを作ったり、テレビ番組のアンケートの回答をしたり、とても有効に使いたい時間だったりする。

ま、このドライブについては出番合間でなくても良かったんですけどね。逆に仕事終わりの方がその流れで飲みに行くみたいな展開に行けそうだったんですけどね。
ま、マネージャーも良かれと思ってのことなのでね。文句ではないんですけどね。

さて、その日1回目の出番が終わって携帯を見ると、竹内さんから到着した旨の連絡が。

駐車場に向かい、いつものように助手席に乗り込む。でも、いつもと違って後部座席にマネージャーはいない。

「ついにラストドライブですね（笑）どこ行きましょうか？」
「ちなみに、ケイさん昼ごはん食べました？」

「いえ、まだです！」
「じゃあどこかでご飯でもどうですか？」

良いに決まってる！

「でも、ケイさんお仕事の合間ですし、あんまり遠くまでは行けないですもんね…」

ほらーやっぱり仕事終わりの方が良かったじゃん！別に…文句じゃないよ？

「じゃあ…私、お台場行きたいです！」
「良いですね！」
車が走り出す。

「1年間連載していただいて、首都高の魅力少しはわかっていただけました？」
「もちろんです！お台場ってリクエストも、道が好きだからなんですよ。山手トンネルの長さとか大橋ジャンクションのぐるぐるも、技術すごー！ってなりますけど、でもやっぱり私は景色が見られる方が好きで、新宿からお台場に行く時って代々木PAも通るし、私代々木PA好きなんですよ！竹内さんに連れて行ってもらったのが初めてだったんですけど、今までは高速乗ったらせっかくだから大きいSAに寄りたいって感覚でしたけど、代々木のこじんまりとした感じもいいんですよねー！あと、東京タワーもやっぱり良いし、あ、あと最高裁判所もかっこいいですよねー！…あ、すいません、ペラペラと…」

「最初の打ち合わせの時の僕みたいになってますよ（笑）」
「あんなにキモくはないでしょ（笑）」
「キモいって！ちょっと言い過ぎじゃないですか？（笑）」

あの連載が好きだったとか、あそこはあえてああいう表現にしたのでそれが伝わったのは嬉しい、とかこの1年の連載について2人で笑いながら話す時間がとても楽しかった。

レインボーブリッジを渡りながら、

「実はこっち側からお台場側にレインボーブリッジ渡ったのも、この取材ドライブが初めてだったんですよ。お台場で仕事の時、行きは普通に電車なんですけど、帰りにタクシーチケットをもらえる時があって、あっち側から渡ったことはあったんですけど。ここを渡る時はいつも仕事終わりなので気持ちが高揚している時もあれば反省してる時もあってシンプルに車からの景色を楽しめたのも初めてで。この連載のおかげで、今までただ通っていた首都高にもたくさん魅力があることがわかりました。初めて見る景色もたくさんありましたし。とても貴重な経験をさせていただきました。担当が竹内さんで良かったです。ありがとうございました！あ、またペラペラとすいません…」

「いえ、僕も担当できて嬉しかったです！で、ですね、実は、その、えっと…お伝えしたい事がありまして…」

何？え？まさか、この言いにくいけど、言いたいみたいな感じは…まさか！

「え？ちょっと急に改まってなんですか？（笑）」

告白だとは全く思っていませんよーと余裕の雰囲気を出しつつ。

「実は…マネージャーの冨野さんと、お付き合いすることになりました！」

そっちかーい！！！心の中で、渾身の「そっちかーい」が出た。

「ケイさんには報告した方が良いだろうと二人で話しまして…」
「わーおめでとうございます！びっくりしました！…わ、私も実は今いい感じの人いるんですよー」

まじで絶対言わなくていいこと言った。そんなことは今全く関係ない。
でも口に出して言うことで何かを守りたかったんでしょうね。

そうか、だから竹内さんも私と2人きりでのドライブになることを気にしてたのか。マネージャーも出番の合間にすることで軽めのドライブで終わるように仕向けたのか。

やられた！

もうこうなったらスイッチを切り替えて…

「どっちからですか？」「いつからですか？」「なんて呼んでるんですか？」「どこが好きなんですか？」「結婚とかも意識してるんですか？」

質問責め。
まだこんな展開になると知らなかったあの時の私が助手席で調べた、いい雰囲気のイタリアンのテラス席で。めちゃくちゃ食べたよね。もうこうなったらね。

時間があったらちょっとわがまま言って遠回りしてもらおうと思ってたけど、もう最短ルートで帰ってもらいました。

次マネージャーに会ったら、めちゃくちゃめちゃくちゃ文句言ってやろーっと！！！！！

 

さて、最後2回に渡って首都高NEWS LOVEお届けしました。これに関しては完全妄想です。竹内さんなんて人はいないし、取材ドライブなんてものもありません。
でも、連載を通して首都高の魅力を知ることができた、というのは本当です。皆様にもそれが少しでも伝わっていれば幸いです！
妄想ドライブデート1年間ありがとうございました！